![]() 「助動詞」 〈超難解「らむ」の現在推量と原因推量 2〉 では、実戦。2007年度のセンター試験の問題を見てみましょうか。 『センター試験 的中!!』の記事で述べていますが、センター試験の三日前の記事で、ドンピシャ!解説しています。詳細は『古文のツボ 其の七』をご覧ください。 で、和歌の評価は「当意即妙」で決まり、「臨機応変」じゃないよ、と述べていますが、ひっかけまで当たってしまいましたね。かなり和歌をめぐる本文を演習した人でないと、なかなか難しいでしょう。 でも、実は助動詞「らむ」でも二者択一にしぼれました。さて、「らむ」を「道具」として使いこなせた受験生は何人いたことでしょう?やってみますか。 【2007年度 センター試験 古文】 <本文> 初霜も置きあへぬものを白菊の早くもうつる色を見すらん <設問> 問4 傍線部B「初霜も置きあへぬものを白菊の早くもうつる色を見らん」という和歌の説明として最も適当なものを、次の1~5のうちから一つ選べ。 1 兵部卿の宮に夢中になっている新婚の姫君に対して、「初霜もまだ降りないのに、どうして白菊は早くも別の色に染まっているのだろうか」と、ひやかして詠んだ。 2 宮仕えで気苦労が絶えないことを姫君に打ち明けたくて、「初霜もまだ降りないけれども、白菊は早くもよそに移りたがっているようだ」と、暗示するように詠んだ。 3 描いた白菊を姫君がすぐに塗りつぶしてしまったことに対して、「初霜もまだ降りないのに、どうして白菊は早くも色変わりしているのだろうか」と、当意即妙に詠んだ。 4 白菊を黒い色に塗り替えた姫君の工夫を理解して、「初霜もまだ降りないけれども、庭の白菊は早くも枯れそうな色に染まってしまったようだ」と、臨機応変に詠んだ。 5 色を塗り替えられた白菊から容色の衰えはじめた女性の姿を連想して、「初霜もまだ降りないのに、どうして白菊は早くも色あせたのだろうか」と、冗談半分に詠んだ。 和歌をよく見てください。「見す(見せる)」とあるから、白菊が「うつる(色あせる・色が変わる)」のは目の前の事実とわかりますね。よって原因推量なんです。 原因推量は必ず原因の表現とともに使われる、って、原因の表現がどこにもありません。だったら原因を問う疑問語「など」「なに」等の省略、補って解釈するのでしたね。 ・など白菊の早くもうつる色を見すらん (どうして白菊は早くも色変わりするようすを見せているのだろうか) こんな直訳でしょう。原因推量で訳しているのは「1」「3」のみ。二者択一にしぼれます。これが「道具」として文法を使うということなのです。で、解答は「3」でした。 【語釈】 ・動詞+あふ…終わりまで・すっかり~しきる) ・うつる…色あせる・心変わりする(って、これも『古文のツボ』で予想していたっけ) 二者択一、後は文脈から正解、って、典型的なセンター試験の五者択一問題ですね。 1 は「新婚の姫君に対して、~ひやかして詠んだ。」が、文脈からするとまずいでしょう。「白菊が別の色にそまる」とは、姫君がまるで他の男から心変わりしたかのような比喩になってしまいます。 2・4 目で見て「~ようだ」というのは、視覚による推定「めり」です。後日説明しましょう。 5 「どうして~したのだろうか」は、過去の原因推量「けむ」でしょう。ちなみに、「けむ」の原因推量で悩む必要はマッタクありませんよ。普通に過去推量「~しただろう」でOK、訳してみれば結果的に原因の推量になってるだけですから。 以上、受験生、最後の最後は和歌の勝負、ってサンザン言っている意味がわかりますね?センター試験、早稲田、上智、和歌の勝負って、わかりますね? 和歌の「らむ」は「わからん」と肝に銘じておきましょう(オヤジ)。とはいえ、上記の解説のようなアプローチができた受験生はかなり優秀だと思いますよ。 いずれ、和歌に関する重要構文でもう一度解説しましょう。 ご参考になりましたら、応援ポチッとよろしくお願いします!!
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![]() 「助動詞」 〈つ・ぬ〉 完了・強意の助動詞「つ」「ぬ」、何も難しくないです。あえて違いをいえば、「つ」は意志的な動作に用いられ、「ぬ」は自発的、自然発生的な動作に用いられます。 「つ」は下二段型、「ぬ」はナ変型、ていうか、ナ変とまったく同じです。 「つ」の未然形・連用形「て」、それと「ぬ」の連用形は接続パターンが決まっていますから覚えてしまいましょうか。 【「つ」の未然形・連用形「て」の接続パターン】 ・てむ …「つ」未然形+推量の助動詞「む」 ・てけむ …「つ」連用形+過去推量の助動詞「けむ」 ・てき …「つ」連用形+過去の助動詞「き」 ・てけり …「つ」連用形+過去の助動詞「けり」 ・てば …「つ」未然形+接続助詞「ば」 仮定条件句を作る。 ・てまし …「つ」未然形+推量の助動詞「まし」 ※「てむ・てけむ・てき・てけり・てば・てまし」なんて覚えてしまいましょう。接続パターンはこれだけ。「て」の識別でたまに聞かれますね。 【「ぬ」の連用形「に」の接続パターン】 ・にき …「に」+過去の助動詞「き」 ・にけり …「に」+過去の助動詞「けり」 ・にけむ …「に」+過去推量の助動詞「けむ」 ※「にき・にけり・にけむ」なんて覚えてしまいましょう。文法問題で超頻出、今年のセンター試験でも出した、「に」の識別でよく顔を出します。 「に」の識別は本当に難しい。でも難しいのは断定の助動詞「なり」と格助詞「に」「にて」です。完了の「に」なんか、ヘソで茶をわかしてくださいね。 と、いいつつも、早稲田大学レベルになるとソコをひっかけてきますから、難関大学を受験する人は接続、文脈等、よくよく注意してください。ウソだと思ったら『大学入試直前講座 『古文のドツボ』 其の一』を見てみましょう。 練習 次の傍線部の文法的説明として正しいものをそれぞれ選びなさい。 ・秋風の吹きにし日より音羽山(おとはやま)峰のこずゑも色づきにけり イ 断定の助動詞「なり」 ロ 完了の助動詞「ぬ」 ハ 格助詞「に」 ニ 接続助詞「に」 解答 前=ロ 後=ロ 口語訳 秋風が吹いた日から音羽山では峰の梢(こずえ)も紅葉したことだなあ。 解説 「にき」「にけり」の「に」は完了、とはいえ、下にくる語が活用語なら活用しますからね。「にし」の「し」は過去の「き」の連体形です。 練習 次の和歌の口語訳としてふさわしいものを選べ。 ・梅が香(か)を袖に移してとどめてば春は過ぐとも形見ならまし イ 梅の香りを袖に移してとどめたので、春が過ぎ去っても思い出の種となるだろうに ロ 梅の香りを袖に移してとどめたので、春が過ぎ去っても思い出の種となってほしい ハ 梅の香りを袖に移してとどめたなら、春が過ぎ去っても思い出の種となってほしい ニ 梅の香りを袖に移してとどめたなら、春が過ぎ去っても思い出の種となるだろうに 解答 ニ 解説 「つ」の未然形+接続助詞「ば」、「未然形+ば」は仮定条件、仮定条件句をともなった「まし」はすべて反実仮想でしたね。反実仮想は詠嘆的表現だから和歌でよく使われるって言いましたね。ほらね、って問題です。忘れた人は『古文の基礎 其の五十二』参照のこと。 ご参考になりましたら、応援ポチッとよろしくお願いします!!
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