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大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の八十
「古文の星 ★」

 

古典文法の確認テストいかがでしたか?

45点以上なら、古典文法はかなりできます。あとは読めば読むほどメキメキ力がついていきますよ。

40点前後なら、もう一度ざっとおさらいしてから読解演習に入りましょう。

30点を下まわるようでしたら、用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用もあやしいカモ?基礎からきっちりやり直しましょう。その方が、結局は成績を上げる近道です。気合を入れてやれば二週間くらいで終わるはずです。

・用言の活用しっかり!

・係り結びしっかり!

・敬意の方向をおさえて、敬語動詞を覚える。

・助動詞の接続を覚える(用言の活用が言えれば、助動詞の活用はすぐ覚えます)。

・★マークをたどりながら助動詞、助詞の意味をおさえる。

メリハリをつけてやれば文法なんてあっという間に終わります。「つ」「ぬ」が完了か強意か?「まし」をどう訳すか?これらをゴッチャにして、ベターっと平板にやるから、いつまでたっても文法が終わらないのです。

★マークのついてないものは、サラッとやって、★マークの多いやつほどリキ入れてやる。あとでみなさんが復習する時の目安として★をつけてきたのです。

とにかく、文法なんてさっさと仕上げてしまうこと。夏からは読解をやらねば、です。

文法・単語・敬語の基礎力を身につけた人が読解していくと、

「何だっけ?」→文脈の中で思い出す。「何だっけ?」→文脈あるから思い出す。

という演習を繰り返していきます。つまり、やればやるほど基礎力は定着し、応用力(得点力)が身についていきます。反対、基礎力がないのに読解をこなしても、

「わからん」→「わからん」→「わからん」

せっかくの重要事項もスルー、つまり、「思い出す」という作業ができないのです。基礎力は相変わらず身につかないし、応用力も身につかない、ということになってしまいます。

「めざせ!古文の★」早いところ文法なんてカタをつけて、古文読解を楽しみましょう。

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【2007/07/04 19:36】 | 古文の基礎 61-80 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十九
「文法総仕上げ 確認テスト 解答・解説」

 

【解答・解説】

問一 次の 傍線部を口語訳しなさい。           (三点×十=三十点)

1 これ(和紙)に何をか書かまし。 

( 何を書いたらよいだろうか・何を書こうか )

【解説】仮定条件なし(反実仮想ではない)、疑問文、だったら「ためらいを含む意志」です。

2 少しのことにも、先達(せんだち=先輩)はあらまほしきことなり。

 ( あってほしい・いてほしい )

【解説】希望の助動詞「まほし」「たし」、自己の希望「~したい」か、他者への希望「~してほしい」か、文脈から判断しましょう。助動詞、終助詞にかかわらず、希望の表現は記述で口語訳がきかれます。

3 男も女も、いかでとく(=早く)京へもがなと思ふ心あれば、

 ( なんとかして早く京へ着きたい・着けばいいなあ )

【解説】希望(願望)の終助詞、「がな」「もがな」の訳はちょっと工夫が必要です。副詞「いかで」は希望(願望)や意志と呼応し、「何とかして~」。どちらも記述の王様。

4 いつしか梅咲かなむ

 ( 早く梅が咲いてほしい )

【解説】四段動詞「咲く」未然形「咲か」に接続し、他に対する希望(あつらえ)をあらわす終助詞「なむ」。副詞「いつしか」は希望(願望)や意志と呼応し、「早く~」。これもまた記述の王様。

5 我に今一度(ひとたび)声をだに聞かせ給へ

 ( せめてだけでもお聞かせください )

【解説】副助詞「だに」は配点の高い問題にからむので要注意!四段動詞「給ふ」命令形「給へ」。下に「意志」「希望」「仮定条件」「命令」をともなったら、最小限の条件「せめて~だけでも」。これは機械的な訳ですからカンタン、難しいのは類推「~さえ」です。

6 御心地も苦しければ、物もつゆばかりもまゐらず

 ( お食事も少しも召し上がらない )

【解説】「(飲み物・食べ物)参る」は、「飲む・食ふ」尊敬「召し上がる」。記述の王様です。「物まゐる」の形で、慣用的に「お食事を召し上がる」の意です。副詞「つゆ」は打消と呼応し、「少しも~ない」。いずれ、「参る」「参らす」はくれぐれも訳出に注意!最後の最後まで悩ましい敬語動詞です。いろいろな文脈で訳出していきましょう。

7 御船にたてまつり給ふ

 ( お乗りになる乗りなさる 

【解説】「(乗り物に)奉る」は、「乗る」尊敬「お乗りになる」。いずれ「参る」「奉る」の尊敬はホント、記述の王様中の王様。

8 (相手に向かって)「忍びては、参り給ひなむや

 ( 参上なさらないか・参上なさってはどうか・参上なさってくれないか )

【解説】「つ」「ぬ」未然形「て」「な」+「む」+「や」で、適当・勧誘「~してくれないか」「~しないか」「~したらどうか」、と訳はいろいろ。いずれ、会話文、手紙文で相手の動作について用いられるのがポイント。記述だとちょっと難しいですね、選択問題できかれます。地の文で「てむや「なむや」とあったらだいたい反語「~できようか、いや、できない」です。どちらも訳せるように。

9 呼ばすれど答(いら)へざなり

 ( 答えないようだ )

【解説】打消の助動詞「ず」連体形「ざる」。「ザリ系列」といわれる「ざら・ざり・ざる・ざれ」はラ変型活用語、ラ変(型)連体形は下に推定「なり」「めり」がくると撥音便(ん)をおこしたりして。でも、「ん」を書かない、無表記になるんですね。断定「なり」の上ではゼッタイ撥音便をおこしませんから、「撥音便+なり」は伝聞・推定にキマリ!文法の核心部分です。ココをあっさりクリアできる人は、ほぼ、文法がわかっている人ですね。伝聞か推定かは文脈から判断してください。「呼ぶ」と声がしている文脈ですから、推定「~ようだ」で訳したい。

10 一昨日(をとつひ)も昨日も今日も見つれども明日さへ見まくほしき君かも

 ( 明日までも(も)会いたい君 )

【解説】副助詞「さへ」は添加で「~までも」と訳す!「さへ」を「さえ」と訳してはいけません(平安の文章に関しては、ですが)。わかっちゃいるけど…ってやつです。「さへ・までも」と覚えましょう。選択肢を消す小ネタとしてよく使えます。虫食い問題にもなりますから、添加の構文の機能をしっかりおさえておきましょう。ちなみに、「まくほし」は上記「まほし」の古い形、和歌でよく使われます。

問二 次の傍線部の文法的意味として正しいものを、後の選択肢より選べ。

                              (二点×四=八点)

1 涙のこぼるるに、目も見えず、ものも言はず。

イ、受身  ロ、尊敬  ハ、自発  ニ、可能

【解説】打消「ず」をともなったら「る」「らる」はだいたい可能です。とはいえ、結局は不可能「~できない」になります(ただし、平安時代)。

2 (内大臣は)女房にも歌詠ま給ふ。

 イ、使役  ロ、尊敬

【解説】「せ給ふ」「させ給ふ」の形をとったら、最高敬語(二重敬語)といきたくなるのが人情ですが、「使役対象に(して)~す・さす・しむ」と使役の構文をとったら、いついかなる時も使役です。

3 鴨ぞ鳴くなる 山かげにして

 イ、断定  ロ、存在  ハ、伝聞  ニ、推定

【解説】四段動詞は終止、連体同形。「なり」が接続すると断定なのか伝聞・推定なのか、接続からはわかりません。ただし、「鳴くなり」「衣打つなり」の「なり」は推定に決まります。「鳴く」「衣打つ」と「音」がしていますから、伝聞でもない、「推定」にキマリ!です。新古今和歌集で大ハヤリした表現、ということは、早稲田大学とか、出したいところです。

4 春日野の飛ぶ火の野守出(い)でて見よ 今幾日(いくか)ありて若菜摘みてむ

 イ、強い推量  ロ、強い意志  ハ、可能  ニ、適当・当然

【解説】「連用形+て(「つ」未然形)む・な(「ぬ」未然形)む」は助動詞「べし」感覚で訳すといいですね。「あと何日したら若菜つみ?」と可能性が問題になっていますね。

問三 次の傍線部の解釈、または説明として最も適当なものを、後の選択肢より選べ。

                             (三点×四=十二点)

1 事いできなむず。いみじきわざかな。

  イ、事件がおこってはならない。

  ロ、事件がおこってほしくはない。

  ハ、事件がおこることはないだろう。

  ニ、事件がきっとおこるだろう。

【解説】「出で来」(いでく=起こる)連用形「いでき」+「な(「ぬ」未然形)」+「むず」です。助動詞「むず」は「む」とまったく同じ、意味で悩む必要はありません。上記は「な+むず」、つまり、「連用形+なむ」と同じ、上記のとおり、「べし」感覚で訳すといいですね。ただし、「むず」は品詞分解が問われます。文法問題にしてもいいですし、口語訳の問題にしてもいいです。打消「ず」とひっかけるのがお約束です。

2 「(使者として派遣したのが)永実(ながざね=人名)ならずは、わが恥ならまし」(と帝がおっしゃった)

イ、永実でなかったら、私は恥をかかなかっただろう。

ロ、永実ではなかったので、私は恥かかずにすんだ。

ハ、永実だったので、私は恥をかかずにすんだ。

ニ、永実だったなら、恥をかくことになっただろう。

【解説】助動詞「ず」連用形+「は」=仮定条件。仮定条件をともなった「まし」はすべて反実仮想と考えましょう。反実仮想は「ましかば~まし」よりも、「ずは~まし」「無くは~まし」などの方がきかれる可能性、大ですね。上智、早稲田、センター、要注意です。そのためには、とりあえず仮定条件をしっかり訳せるようにしておかなくてはなりません。で、反実仮想を訳す時には、必ず現実も出すクセをつけましょう。否定と肯定をひっくり返して「~ので」でつなげるだけです。やってみましょう。

(反実仮想=永実でなかったら、私の恥になっただろうに…)

(現実=永実だったので、私の恥にはならなかった)

と、上記の問は「現実説明」の問題にしたものです。その他の選択肢は「現実」と「反実」をゴチャ混ぜにしたものです。ひっかかるでしょう?上智とか、いかにも好きそうなひっかけです。

3 「かかる(帝の)御使ひの、よもぎふの露分け入り給ふにつけても、いと恥づかしうなむ

  イ、とてもきまりが悪いにちがいない。

ロ、とてもきまりが悪いことでございます。

ハ、とてもきまりが悪い思いをさせてしまいました。

ニ、とてもきまりが悪い思いをすることになってほしい。

【解説】「恥づかしく」のウ音便「恥づかしう」。形容詞本活用連用形+「なむ」は係助詞です。補助動詞「ある」「侍る」など、結びが省略されています。「未然形+なむ(終助詞)」「連用形+な(助動詞「ぬ」未然形)む(助動詞)」とひっかける。ひっかけの王様です。上記の問は口語訳でひっかけようとしたものです。見破れましたか?

4 「内々に、思ひ給ふるさまを奏し給へ

イ、お思いになっていることを帝に奏上してください。

ロ、思っておりますことを帝が命令なさってください。

ハ、お思いになっていることを帝の方からおっしゃってください。

ニ、思っておりますことを帝に申し上げてください。

【解説】「給ふる」「給ふれ」は下二段謙譲(へりくだり)の補助動詞にキマリ!あとは「~ます」と訳すだけです。「給へ(四段尊敬補助動詞已然形+ら・り・る・れ(完了「り」)」と、ひっかからないように。「奏す」は絶対敬語、「(帝に)言ふ」の謙譲「申し上げる」「奏上する」。最高敬語(二重敬語)は尊敬表現、主語=皇族(帝など)と決まります。絶対敬語「奏す」「啓す」は謙譲表現、「奏す」は「帝に申し上げる」、「啓す」は「中宮、皇后、東宮に申し上げる」、動作の受け手が決まります。どちらも皇族にまつわる表現ですが、「尊敬」か「謙譲」か、つまり、「主語」が決まるのか、「動作の受け手」が決まるのか、ひっかからないようにしましょう。

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【2007/07/04 02:30】 | 古文の基礎 61-80 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十八
「文法総仕上げ 確認テスト」

文法の仕上げに「確認テスト」をやってみましょう。

50点満点、45点以上なら文法卒業!あとはひたすら読解演習、「量」の勝負に入ってください。

【古典文法 総確認テスト】

問一 次の 傍線部を口語訳しなさい。                    (三点×十=三十点)

1 これ(和紙)に何をか書かまし。 

 (                )

2 少しのことにも、先達(せんだち=先輩)はあらまほしきことなり。

 (                )

3 男も女も、いかでとく(=早く)京へもがなと思ふ心あれば、

 (                )

4 いつしか梅咲かなむ

 (                )

5 我に今一度(ひとたび)声をだに聞かせ給へ

 (                )

6 御心地も苦しければ、物もつゆばかりもまゐらず

 (                )

7 御船にたてまつり給ふ

 (                )

8 (相手に向かって)「忍びては、参り給ひなむや

 (                )

9 呼ばすれど答(いら)へざなり

 (                )

10 一昨日(をとつひ)も昨日も今日も見つれども明日さへ見まくほしき君かも

 (                )

問二 次の傍線部の文法的意味として正しいものを、後の選択肢より選べ。

                                              (二点×四=八点)

1 涙のこぼるるに、目も見えず、ものも言はず。

 イ、受身  ロ、尊敬  ハ、自発  ニ、可能

2 (内大臣は)女房にも歌詠ま給ふ。

 イ、使役  ロ、尊敬

3 鴨ぞ鳴くなる 山かげにして

 イ、断定  ロ、存在  ハ、伝聞  ニ、推定

4 春日野の飛ぶ火の野守出(い)でて見よ 今幾日(いくか)ありて若菜摘みてむ

 イ、強い推量  ロ、強い意志  ハ、可能  ニ、適当・当然

問三 次の傍線部の解釈、または説明として最も適当なものを、後の選択肢より選べ。

                                             (三点×四=十二点)

1 事いできなむず。いみじきわざかな。

  イ、事件がおこってはならない。

  ロ、事件がおこってほしくはない。

  ハ、事件がおこることはないだろう。

  ニ、事件がきっとおこるだろう。

2 「(使者として派遣したのが)永実(ながざね=人名)ならずは、わが恥ならまし」(と帝がおっしゃった)

  イ、永実でなかったら、私は恥をかかなかっただろう。

ロ、永実ではなかったので、私は恥かかずにすんだ。

ハ、永実だったので、私は恥をかかずにすんだ。

ニ、永実だったなら、恥をかくことになっただろう。

3 「かかる(帝の)御使ひの、よもぎふの露分け入り給ふにつけても、いと恥づかしうなむ

  イ、とてもきまりが悪いにちがいない。

ロ、とてもきまりが悪いことでございます。

ハ、とてもきまりが悪い思いをさせてしまいました。

ニ、とてもきまりが悪い思いをすることになってほしい。

4 「内々に、思ひ給ふるさまを奏し給へ


  イ、お思いになっていることを帝に奏上してください。

ロ、思っておりますことを帝が命令なさってください。

ハ、お思いになっていることを帝の方からおっしゃってください。

ニ、思っておりますことを帝に申し上げてください。



以上、次回、解答と解説をしていきます。

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【2007/07/02 16:18】 | 古文の基礎 61-80 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十七
「和歌に関する重要表現」 〈難関大学を目指す人のために!〉

受験生、最後の最後は和歌の勝負!センター試験がほぼ毎年出題していますから、国立大学受験者はもちろんのこと、早稲田、上智をはじめとする難関大学を受験する方は避けて通れません。

ひととおり文法が理解できた人は、いよいよ和歌の演習に入ってください。和歌の修辞の理解は和歌単独でやってもいいですが、やはり、文脈の中で多様な和歌を読みこなしていく必要があります。平安の物語、日記、中世の歌論など、ガンガン演習してください。ココからが演習量、「量」の勝負になっていきます。

和歌の修辞は近世江戸期の散文、地の文でさかんに使われています。実は、「和歌の修辞」は近世散文でこそ問題になると言っても過言ではありません。

文法をひととおり終えたところで、和歌で問題になる文法事項をまとめておきましょう。その上で和歌の修辞に入ってください。和歌の修辞は下記を参照してください。


 

【「~を~み」構文の訳出】 ★★★★


 

例 風いた岩うつ波のおのれのみくだけて物を思ふころかな

(風が激しいので岩打つ波のように、私だけが心を砕いて物思いをしているこの頃だなあ)

※「いた」はク活用形容詞「甚(いた)し」語幹「いた」。


・名詞「」形容詞の語幹「

 =原因理由の構文。「名詞形容詞なので


ク活用形容詞の語幹に注意してください。(シク活用は語幹と終止形が同じなので一目でわかります。)とくに例文のように仮名で書かれるとわからなくなります。「いたみ?」って「痛み!」なんてことになります。

そこで、和歌の傍線部訳が問われ、訳せない「~み」が出てきたら、とりあえず「し」をくっつけてク活用形容詞ではないか、探りを入れてみてください。

「いたし?」→「甚(いた)し!」=はなはだしい、はげしい

と類推能力を働かせ、自力で形容詞をほじくり出してください。上智など、プンスカにおうところですよ。

 

【和歌の「~こそ~已然形」強調逆接構文の訳出】★★

【「こそ~已然形」の強調逆接構文】→大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の二十一

 

例 春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見え香やはかくるる

(春の夜の闇は道理をわきまえない。梅の花は、色は見えないものの香りは隠れようか、いや隠れない)

※和歌は句読点をうちません。だから、


・こそ~已然形/(句切れ)~ …たんなる強調

・こそ~已然形、~…下に続いて逆接


どちらなのか、文脈から自分で判断しなくてはなりません。係助詞「こそ」を受けて「ず」の已然形「ね」です。和歌全体の意味を考えてみます。

色は見えない←→香りは隠れない

と、前後があいいれない、矛盾する関係性になっていますね。よって、この場合はそのまま下に続けて(「~ね。」と句切れにしないで)逆接で解釈します。

 

【和歌の「らむ」の訳出】★★

【「らむ」の現在推量/原因推量】→大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の五十九

和歌の原因推量「らむ」において、原因を問う疑問語「など・なに」等が省略されてしまう場合があるので注意が必要です。事実が目の前にあるのかないのかで判断すること。


事実が目の前にない現在推量

事実が目の前にある原因推量

(原因の表現がなかったら原因を問う疑問語の省略と考えられる。)

 

例1 憶良らは今はまからむ子泣くらむそれその母も吾を待つらむ

(私はもうおいとまいたしましょう。今ごろ家では子供が泣いているだろう。その母親も今ごろ私を待っているだろうよ。)

※山上憶良(やまのうえのおくら)は今、宴会の席で家を思って詠んでいる、といった状況です。母子は家で待っているのだからその事実は眼前にない、よって現在推量なんです。ちなみに「まからむ」は「まから(未然形)」+「む」。

 

例2 春霞なに隠すらむ桜花散る間をだにも見るべきものを

(春霞はどうして隠しているのだろう。せめて桜が散る間だけでも見たいのになあ)

※春がすみが桜の花を隠しているのは目の前の事実でしょう。眼前にないどこか遠くの場所(現在推量)とは考えられません。眼前の事実である以上、原因推量なんです。


なに」…〈原因を問う疑問〉

「春霞~隠す」…〈眼前の事実〉

 →「らむ」=原因推量

 

例2 春の色のいたりいたらぬ里はあらじ咲ける咲かざる花の見ゆらむ

(春の風情がたどりつく里、つかない里の区別はあるまい。それなのにどうして咲いている花、咲いていない花が見えているのだろう。)

※「見ゆ」といっているのだから事実は目の前にあります。眼前の事実である以上、やはり原因推量なのです。原因推量「らむ」は必ず原因の表現とともに使われるのでしたね。ところが原因を表す表現がどこにもありません。そこで、原因を問う疑問語「など・なに」等の省略と考え、自分でおぎない、「など咲ける咲かざる花の見ゆらむ」として原因推量で解釈しなくてないけません。


など」…〈原因を問う疑問〉

「咲ける咲かざる花の見ゆ」…〈眼前の事実〉

 →「らむ」=原因推量


ちなみに、今年のセンター試験、和歌の説明で出したやつです。「らむ」は和歌で多用されるので、ほんとうに注意が必要です。「わからん」と…ってもういい?

 

【「なくに」の訳出】★


和歌の「~なくに

・文末で用いて…詠嘆(~ないことだなあ

・文中で用いて…逆接(~ないのに)・順接(~ないのだから

 

例 深山には松の雪だに消えなくに都は野辺の若菜摘みけり

(山奥ではまだ松の雪さえ消えていないのに、都ではもう野辺の若菜を摘んでいることだなあ)

・「(打消「ず」の上代未然形)」+「(準体助詞)」+「(格助詞)」

なんて、品詞分解はいろいろ説明がされていますが、どうでもいいです。とりあえず、


なくにないのに


だけでも訳せるようにしておきましょう。たま~に聞かれますから。

 

以上、和歌をめぐる修辞、解釈は難解です。情報量が「五七五七七」の三十一文字(みそひともじ)しかないのだからあたりまえですね。だから、結局は文脈類推能力が求められてきます。早稲田、上智、センター国語。難解だからこそ、難関大学で出す!あたりまえですよね。理屈より場数、受験生が最後には演習量の勝負になるというのは、和歌の解釈が典型なのです。

 

最後に、一週間後に文法全体の「総復習テスト」をやりましょう。ひととおりおさらいして力試しにやってみてください。

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【2007/06/23 21:45】 | 古文の基礎 61-80 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十六
「識別」 〈三大識別「なり」「なむ」「に」〉

記事が長くてすみませんね。

文法の総仕上げですから、かえって分けないほうが一覧しやすいだろうと考えました。ボクシングでいうなら最終ラウンドなんですね。ドトーのようにラッシュをかけていきますよ。今年のセンター試験で出しましたね。

 

【「に」の識別】★★★★★

格助詞「に」「にて」…体言・連体形(連体形の場合、下に体言が補える)に接続。

基本的に体言に付き、下の動詞にかかっていきます。「学校行く」の「に」。「学校(体言)」に接続し、「行く(動詞)」にかかっています。「体育館にて全校集会を行う」の「にて」。「体育館(体言)」に接続し、「行う(動詞)」にかかっています。

 

接続助詞「に」…連体形に接続(下に体言が補えない)

・順接(~すると・~ので

・逆接(~のに・~けれども

どちらも表現します。「主語~述語」は接続助詞「に」の上で完結するため、下にかかっていく動詞がありません。「我学校に行く、彼行かず」の「に」。「行く(連体形)」に接続し、かかっていく動詞がありませんね。

 

完了の助動詞「ぬ」の連用形「に」…活用語の連用形に接続し、「にき・にけり・にけむ」と他の助動詞と複合する。

 

断定の助動詞「なり」の連用形「に」…体言・連体形に接続。

・「~にあり」で「である」と訳せる。「あり」は断定の表現を補助する補助動詞と考える。「に」と「あり」の間には係助詞や接続助詞が入る場合が多い。

※断定の「なり」連用形「に」、および「にあり」「に侍り・に候ふ」「におはす・おはします」の断定以外の表現については断定「なり」の項を確認してください。

【断定「なり」の連用形「に」】→大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の六十四

・「~にて」で「~である。そして、」または「~であって、」と訳せる。

格助詞「にて」との識別が問われます。下記で詳述。


ナ変動詞「死ぬ」「往ぬ」の連用形「死に」「往に」の活用語尾

 

ナリ活用形容動詞の連用形の活用語尾…「なり」で言いきって様子・状態を表現する。

 

7副詞の一部…副詞は基本的に活用せず、用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾していく。

 

例1、2、6 ねむごろ言ひける人「こよひ逢はむ」とちぎりたりける

(親切に言い寄った男に「今夜逢おう」と約束すると、)

※形容動詞「ねむごろなり」の連用形「ねむごろに」。「~なり」と言いきって「親切だ、丁寧だ」と様子・状態を表現します。

・「人に」の「に」は格助詞。「人(体言)」に接続し、動詞「ちぎる」にかかっています。

・「けるに」の「に」は接続助詞。助動詞「けり」連体形「ける」に接続し、間に体言が補えないし、下にかかっていく動詞がありません(省略しているけど…)。

 

例3 心は君によりしものを

(心は君に寄りそっていたのになあ)

※「寄る」の連用形「より」に接続し、「にき」の形をとっています。完了「ぬ」の連用形と一発でわかります。当然、過去の助動詞「き」も活用語なので活用します。「し」は「き」の連体形。

 

例4 わが身一つの秋あらねど

(私だけに訪れた秋はないけれど)

※「秋(体言)」に接続し、「(は)あり」で「~である」と訳せますね。よって「に」は断定「なり」連用形。「あり」は補助動詞。あいだに「は(係助詞)」が入った形です。「私だけの秋である」と断定している(打消していますが)のであって、「秋」に何かが存在しているわけではないでしょ?

例えば「学園祭いつあるの?」「学園祭は秋あり」と言ったら、学園祭がどの時期に存在するかをいっています。存在を表したら「に」は格助詞、「あり」は普通の動詞、動詞は「存在・動作」の表現でしたね。

 

例4 (『徒然草』は)あぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべきものなり。

(『徒然草』は、つまらないなぐさみごとであって、すぐに破り捨てるべきものだ。)

 ※「すさび(体言)」に接続し、「~である。そいして」または「~であって」と訳せます。よって「に」は断定「なり」連用形。「て」は接続助詞。

・こんな『徒然草』なんかつまらないなぐさみごとである

(and)

・こんな『徒然草』なんかすぐに破り捨てるべきものである

「~なり(断定)。て(=and)、~なり(断定)」と、前後で「主語~述語」が完結していますね。これが格助詞「にて」と決定的に異なります。下記の格助詞「にて」と比べてみるとわかりますが、格助詞「にて」は必ず下の動詞にかかっていきます。

 

例1、5 狩けり。

(狩に行った。)

※「狩に」の「に」は格助詞。「狩(体言)」に接続し、動詞「往ぬ」にかかっています。

・「往に」の「に」はナ変動詞「いぬ」の連用形活用語尾。ナ変動詞「死ぬ」「往ぬ」と漢字で書くとバレバレですが、仮名書きで「しに」「いに」と書かれると、とたんに難しくなります。「ゐにけり」だったら、ワ行上一段「居(率)る」連用形「ゐ」、「に(完了)」「けり(過去)」ということになりますが…。

【早稲田レベルのひっかけ】→大学入試直前講座 『古文のドツボ』 其の一

 

例7 つひ行く道とはかねてききしかど、

(最後に通って行く死出の道とは以前から聞いていたけれど、)

※「つひに」は活用がなく、動詞(用言)「行く」を修飾しています。よって副詞です。副詞は「すでに」などもそうですが、「つひなれば」「すでならず」という表現がないでしょ?つまり活用がない、形容動詞ではないんですね。

 

【格助詞「にて」の確認】

※「にて」で一語の格助詞の場合は、体言・連体形(連体形の場合は下に体言が補える)に接続し、必ず動詞にかかっていきます。上記の1、格助詞「に」と全く同じです。全然重要ではありませんが、受験生が必ずひっかかるところです。格助詞「にて」の「に」だけに傍線を引くと、受験生はみんな「断定」とひっかかります。ひっかけの王様なんですね。ひっかからないためにだけ、意味をひととおりたどっておきましょう。覚える必要はありません。たどるだけでOK!。


・場所…~において ~で

・時間・年齢…~で

・状態・資格…~として ~で

・方法・手段…~で

・原因・理由…~のために ~によって

・材料…~で


例 ねがはくは花の下にて春死なむ

(願うことなら桜の花の下春に死のう)

※「下(体言)」+「にて(場所)」→死ぬ(動詞)

 

例 十二にて御元服し給ふ

(光源氏は十二歳元服なさる)

※十二(体言)+「にて(年齢)」→元服す(動詞)

 

例 ただ人(うど)にておほやけの御後ろ見をす

(臣下として朝廷の補佐をする)

※ただ人(体言)+「にて(資格)」→後ろ見す(動詞)

 

例 深き川を舟にて渡る

(深い川を舟渡る)

※「舟(体言)」+「にて(手段)」→渡る(動詞)

 

例 我朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ

(私が朝夕仕事で目にする竹の中にいらっしゃることによって存在がわかった)

※おはする(「おはす」連体形)+コト(形式名詞)+「にて(原因)」→知る(動詞)

 

例 女のはける沓(クツ)にて作れる笛

(女がはいている木の靴作った笛)

※「沓(体言)」+「にて(材料)」→作る(動詞)

 

以上、受験生が迷うところなので、最後にもう一度まとめておきましょう。


・体言にあり…「である」と訳せる

 →断定「なり」連用形+補助動詞「あり」

・体言にあり…「~にある」「~にいる」と存在を表している

 →格助詞「に」+動詞

※「あり」が丁寧「はべり」「さぶらふ」、尊敬「おはす」「おはします」になっても判断基準は同じです。「断定」なのか「存在」なのか、必ず訳して確認してください。ちなみに「はべり」「さぶらふ」については謙譲「お仕えする」もありますよ。


・体言にて…「~である。そして」「~であって」と訳せる

 →断定「なり」連用形+接続助詞「て」

・体言にて…下の動詞にかかっていく

 →格助詞「にて」

※格助詞「に」「にて」か断定「なり」連用形「に」かで迷った時には、常にこの判断基準にしたがってください。

 

以上、メチャメチャこまかいですが、早稲田、上智レベルの受験を考えているのなら、このレベルまでおさえてください。だって、これらの大学でバレバレの「に」の識別を出すわけが、ない!

文法、終わった~!!


 
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【2007/06/22 20:47】 | 古文の基礎 61-80 | トラックバック(0) | コメント(0)
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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