![]() 「和歌に関する重要表現」 〈難関大学を目指す人のために!〉 受験生、最後の最後は和歌の勝負!センター試験がほぼ毎年出題していますから、国立大学受験者はもちろんのこと、早稲田、上智をはじめとする難関大学を受験する方は避けて通れません。 ひととおり文法が理解できた人は、いよいよ和歌の演習に入ってください。和歌の修辞の理解は和歌単独でやってもいいですが、やはり、文脈の中で多様な和歌を読みこなしていく必要があります。平安の物語、日記、中世の歌論など、ガンガン演習してください。ココからが演習量、「量」の勝負になっていきます。 和歌の修辞は近世江戸期の散文、地の文でさかんに使われています。実は、「和歌の修辞」は近世散文でこそ問題になると言っても過言ではありません。 文法をひととおり終えたところで、和歌で問題になる文法事項をまとめておきましょう。その上で和歌の修辞に入ってください。和歌の修辞は下記を参照してください。 【和歌の修辞】→大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の一 【「~を~み」構文の訳出】 ★★★★ 【形容詞の語幹構文】→大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の十五 例 風をいたみ岩うつ波のおのれのみくだけて物を思ふころかな (風が激しいので岩打つ波のように、私だけが心を砕いて物思いをしているこの頃だなあ) ※「いた」はク活用形容詞「甚(いた)し」語幹「いた」。 ・名詞「を」形容詞の語幹「み」 =原因理由の構文。「名詞が形容詞なので」 ク活用形容詞の語幹に注意してください。(シク活用は語幹と終止形が同じなので一目でわかります。)とくに例文のように仮名で書かれるとわからなくなります。「いたみ?」って「痛み!」なんてことになります。 そこで、和歌の傍線部訳が問われ、訳せない「~み」が出てきたら、とりあえず「し」をくっつけてク活用形容詞ではないか、探りを入れてみてください。 「いたし?」→「甚(いた)し!」=はなはだしい、はげしい と類推能力を働かせ、自力で形容詞をほじくり出してください。上智など、プンスカにおうところですよ。 【和歌の「~こそ~已然形」強調逆接構文の訳出】★★ 【「こそ~已然形」の強調逆接構文】→大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の二十一 例 春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる (春の夜の闇は道理をわきまえない。梅の花は、色は見えないものの香りは隠れようか、いや隠れない) ※和歌は句読点をうちません。だから、 ・こそ~已然形。/(句切れ)~ …たんなる強調 ・こそ~已然形、~…下に続いて逆接 どちらなのか、文脈から自分で判断しなくてはなりません。係助詞「こそ」を受けて「ず」の已然形「ね」です。和歌全体の意味を考えてみます。 色は見えない←→香りは隠れない と、前後があいいれない、矛盾する関係性になっていますね。よって、この場合はそのまま下に続けて(「~ね。」と句切れにしないで)逆接で解釈します。 【和歌の「らむ」の訳出】★★ 【「らむ」の現在推量/原因推量】→大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の五十九 和歌の原因推量「らむ」において、原因を問う疑問語「など・なに」等が省略されてしまう場合があるので注意が必要です。事実が目の前にあるのかないのかで判断すること。 1事実が目の前にない→現在推量 2事実が目の前にある→原因推量 (原因の表現がなかったら原因を問う疑問語の省略と考えられる。) 例1 憶良らは今はまからむ子泣くらむそれその母も吾を待つらむそ (私はもうおいとまいたしましょう。今ごろ家では子供が泣いているだろう。その母親も今ごろ私を待っているだろうよ。) ※山上憶良(やまのうえのおくら)は今、宴会の席で家を思って詠んでいる、といった状況です。母子は家で待っているのだからその事実は眼前にない、よって現在推量なんです。ちなみに「まからむ」は「まから(未然形)」+「む」。 例2 春霞なに隠すらむ桜花散る間をだにも見るべきものを (春霞はどうして隠しているのだろう。せめて桜が散る間だけでも見たいのになあ) ※春がすみが桜の花を隠しているのは目の前の事実でしょう。眼前にないどこか遠くの場所(現在推量)とは考えられません。眼前の事実である以上、原因推量なんです。 「なに」…〈原因を問う疑問〉 「春霞~隠す」…〈眼前の事実〉 →「らむ」=原因推量 例2 春の色のいたりいたらぬ里はあらじ咲ける咲かざる花の見ゆらむ (春の風情がたどりつく里、つかない里の区別はあるまい。それなのにどうして咲いている花、咲いていない花が見えているのだろう。) ※「見ゆ」といっているのだから事実は目の前にあります。眼前の事実である以上、やはり原因推量なのです。原因推量「らむ」は必ず原因の表現とともに使われるのでしたね。ところが原因を表す表現がどこにもありません。そこで、原因を問う疑問語「など・なに」等の省略と考え、自分でおぎない、「など咲ける咲かざる花の見ゆらむ」として原因推量で解釈しなくてないけません。 「など」…〈原因を問う疑問〉 「咲ける咲かざる花の見ゆ」…〈眼前の事実〉 →「らむ」=原因推量 ちなみに、今年のセンター試験、和歌の説明で出したやつです。「らむ」は和歌で多用されるので、ほんとうに注意が必要です。「わからん」と…ってもういい? 【「なくに」の訳出】★ 和歌の「~なくに」 ・文末で用いて…詠嘆(~ないことだなあ) ・文中で用いて…逆接(~ないのに)・順接(~ないのだから) 例 深山には松の雪だに消えなくに都は野辺の若菜摘みけり (山奥ではまだ松の雪さえ消えていないのに、都ではもう野辺の若菜を摘んでいることだなあ) ・「な(打消「ず」の上代未然形)」+「く(準体助詞)」+「に(格助詞)」 なんて、品詞分解はいろいろ説明がされていますが、どうでもいいです。とりあえず、 ・なくに=ないのに だけでも訳せるようにしておきましょう。たま~に聞かれますから。 以上、和歌をめぐる修辞、解釈は難解です。情報量が「五七五七七」の三十一文字(みそひともじ)しかないのだからあたりまえですね。だから、結局は文脈類推能力が求められてきます。早稲田、上智、センター国語。難解だからこそ、難関大学で出す!あたりまえですよね。理屈より場数、受験生が最後には演習量の勝負になるというのは、和歌の解釈が典型なのです。 最後に、一週間後に文法全体の「総復習テスト」をやりましょう。ひととおりおさらいして力試しにやってみてください。 ご参考になりましたら、応援ポチッとよろしくお願いします!!
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![]() 「識別」 〈三大識別「なり」「なむ」「に」〉 記事が長くてすみませんね。 文法の総仕上げですから、かえって分けないほうが一覧しやすいだろうと考えました。ボクシングでいうなら最終ラウンドなんですね。ドトーのようにラッシュをかけていきますよ。今年のセンター試験で出しましたね。 【「に」の識別】★★★★★ 1格助詞「に」「にて」…体言・連体形(連体形の場合、下に体言が補える)に接続。 基本的に体言に付き、下の動詞にかかっていきます。「学校に行く」の「に」。「学校(体言)」に接続し、「行く(動詞)」にかかっています。「体育館にて全校集会を行う」の「にて」。「体育館(体言)」に接続し、「行う(動詞)」にかかっています。 2接続助詞「に」…連体形に接続(下に体言が補えない)。 ・順接(~すると・~ので) ・逆接(~のに・~けれども) どちらも表現します。「主語~述語」は接続助詞「に」の上で完結するため、下にかかっていく動詞がありません。「我学校に行くに、彼行かず」の「に」。「行く(連体形)」に接続し、かかっていく動詞がありませんね。 3完了の助動詞「ぬ」の連用形「に」…活用語の連用形に接続し、「にき・にけり・にけむ」と他の助動詞と複合する。 4断定の助動詞「なり」の連用形「に」…体言・連体形に接続。 ・「~にあり」で「である」と訳せる。「あり」は断定の表現を補助する補助動詞と考える。「に」と「あり」の間には係助詞や接続助詞が入る場合が多い。 ※断定の「なり」連用形「に」、および「にあり」「に侍り・に候ふ」「におはす・おはします」の断定以外の表現については断定「なり」の項を確認してください。 【断定「なり」の連用形「に」】→大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の六十四 ・「~にて」で「~である。そして、」または「~であって、」と訳せる。 格助詞「にて」との識別が問われます。下記で詳述。 5ナ変動詞「死ぬ」「往ぬ」の連用形「死に」「往に」の活用語尾 6ナリ活用形容動詞の連用形の活用語尾…「なり」で言いきって様子・状態を表現する。 7副詞の一部…副詞は基本的に活用せず、用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾していく。 例1、2、6 ねむごろに言ひける人に「こよひ逢はむ」とちぎりたりけるに、 (親切に言い寄った男に「今夜逢おう」と約束すると、) ※形容動詞「ねむごろなり」の連用形「ねむごろに」。「~なり」と言いきって「親切だ、丁寧だ」と様子・状態を表現します。 ・「人に」の「に」は格助詞。「人(体言)」に接続し、動詞「ちぎる」にかかっています。 ・「けるに」の「に」は接続助詞。助動詞「けり」連体形「ける」に接続し、間に体言が補えないし、下にかかっていく動詞がありません(省略しているけど…)。 例3 心は君によりにしものを (心は君に寄りそっていたのになあ) ※「寄る」の連用形「より」に接続し、「にき」の形をとっています。完了「ぬ」の連用形と一発でわかります。当然、過去の助動詞「き」も活用語なので活用します。「し」は「き」の連体形。 例4 わが身一つの秋にはあらねど (私だけに訪れた秋ではないけれど) ※「秋(体言)」に接続し、「に(は)あり」で「~である」と訳せますね。よって「に」は断定「なり」連用形。「あり」は補助動詞。あいだに「は(係助詞)」が入った形です。「私だけの秋である」と断定している(打消していますが)のであって、「秋」に何かが存在しているわけではないでしょ? 例えば「学園祭いつあるの?」「学園祭は秋にあり」と言ったら、学園祭がどの時期に存在するかをいっています。存在を表したら「に」は格助詞、「あり」は普通の動詞、動詞は「存在・動作」の表現でしたね。 例4 (『徒然草』は)あぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべきものなり。 (『徒然草』は、つまらないなぐさみごとであって、すぐに破り捨てるべきものだ。) ※「すさび(体言)」に接続し、「~である。そいして」または「~であって」と訳せます。よって「に」は断定「なり」連用形。「て」は接続助詞。 ・こんな『徒然草』なんかつまらないなぐさみごとである。 (and) ・こんな『徒然草』なんかすぐに破り捨てるべきものである。 「~なり(断定)。て(=and)、~なり(断定)」と、前後で「主語~述語」が完結していますね。これが格助詞「にて」と決定的に異なります。下記の格助詞「にて」と比べてみるとわかりますが、格助詞「にて」は必ず下の動詞にかかっていきます。 例1、5 狩に往にけり。 (狩に行った。) ※「狩に」の「に」は格助詞。「狩(体言)」に接続し、動詞「往ぬ」にかかっています。 ・「往に」の「に」はナ変動詞「いぬ」の連用形活用語尾。ナ変動詞「死ぬ」「往ぬ」と漢字で書くとバレバレですが、仮名書きで「しに」「いに」と書かれると、とたんに難しくなります。「ゐにけり」だったら、ワ行上一段「居(率)る」連用形「ゐ」、「に(完了)」「けり(過去)」ということになりますが…。 【早稲田レベルのひっかけ】→大学入試直前講座 『古文のドツボ』 其の一 例7 つひに行く道とはかねてききしかど、 (最後に通って行く死出の道とは以前から聞いていたけれど、) ※「つひに」は活用がなく、動詞(用言)「行く」を修飾しています。よって副詞です。副詞は「すでに」などもそうですが、「つひなれば」「すでならず」という表現がないでしょ?つまり活用がない、形容動詞ではないんですね。 【格助詞「にて」の確認】 ※「にて」で一語の格助詞の場合は、体言・連体形(連体形の場合は下に体言が補える)に接続し、必ず動詞にかかっていきます。上記の1、格助詞「に」と全く同じです。全然重要ではありませんが、受験生が必ずひっかかるところです。格助詞「にて」の「に」だけに傍線を引くと、受験生はみんな「断定」とひっかかります。ひっかけの王様なんですね。ひっかからないためにだけ、意味をひととおりたどっておきましょう。覚える必要はありません。たどるだけでOK!。 ・場所…~において ~で ・時間・年齢…~で ・状態・資格…~として ~で ・方法・手段…~で ・原因・理由…~のために ~によって ・材料…~で 例 ねがはくは花の下にて春死なむ (願うことなら桜の花の下で春に死のう) ※「下(体言)」+「にて(場所)」→死ぬ(動詞) 例 十二にて御元服し給ふ (光源氏は十二歳で元服なさる) ※十二(体言)+「にて(年齢)」→元服す(動詞) 例 ただ人(うど)にておほやけの御後ろ見をす (臣下として朝廷の補佐をする) ※ただ人(体言)+「にて(資格)」→後ろ見す(動詞) 例 深き川を舟にて渡る (深い川を舟で渡る) ※「舟(体言)」+「にて(手段)」→渡る(動詞) 例 我朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ (私が朝夕仕事で目にする竹の中にいらっしゃることによって存在がわかった) ※おはする(「おはす」連体形)+コト(形式名詞)+「にて(原因)」→知る(動詞) 例 女のはける沓(クツ)にて作れる笛 (女がはいている木の靴で作った笛) ※「沓(体言)」+「にて(材料)」→作る(動詞) 以上、受験生が迷うところなので、最後にもう一度まとめておきましょう。 ・体言にあり…「である」と訳せる →断定「なり」連用形+補助動詞「あり」 ・体言にあり…「~にある」「~にいる」と存在を表している →格助詞「に」+動詞 ※「あり」が丁寧「はべり」「さぶらふ」、尊敬「おはす」「おはします」になっても判断基準は同じです。「断定」なのか「存在」なのか、必ず訳して確認してください。ちなみに「はべり」「さぶらふ」については謙譲「お仕えする」もありますよ。 ・体言にて…「~である。そして」「~であって」と訳せる →断定「なり」連用形+接続助詞「て」 ・体言にて…下の動詞にかかっていく →格助詞「にて」 ※格助詞「に」「にて」か断定「なり」連用形「に」かで迷った時には、常にこの判断基準にしたがってください。 以上、メチャメチャこまかいですが、早稲田、上智レベルの受験を考えているのなら、このレベルまでおさえてください。だって、これらの大学でバレバレの「に」の識別を出すわけが、ない! 文法、終わった~!! ご参考になりましたら、応援ポチッとよろしくお願いします!!
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