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大学入試の国語・小論文
  に関するワンポイント・アドバイス
【実戦漢文小テスト 解答解説】
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実戦漢文小テスト
めざせ!漢文 五つ星!!
★★★★★
第二十二号(2010/12/17)
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フットプリンツの漢文小テストはじめます。
配信が大幅に遅れまして、
まことに申し訳ありません。
センター直前、外回りの旅に出ておりました。
ゴミンナサイ┏○゛ペコ
さて、直前に確認確認!
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【今回の試験範囲】
参考書
今回の範囲は「漢文のツボ 全範囲」です。
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一時間後、解説、配信いたします。
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【実戦漢文小テスト 解答解説】

【解説】
センター試験、現代文、古文、漢文すべてにわたって言えることは、「複数の項」が立つということです。
「多項」の読解、というのがセンター国語のキーワード。
・評論…単純な二項対立がキライ。三項以上、もしくは、「西欧⇔日本」の二項対立、キーワードも「個人⇔社会」といった二項対立、計四項、とかね。
・古文…「男と女」が登場して、単純な歌物語、「聖(ひじり)と悪人」が登場して、単純な仏教説話、とかの話型がキライ。「男と女」で展開する場合、三角関係になったり、「別の男と女」の四人で展開したり、あるいは、時間や場所が移動して、役職名や身分が変わるなど。これらのメインキャラの脇役で「乳母(めのと)(育ての母親)」「乳母子(めのとご)(姫君、若君の側近)」がサブキャラとして展開していきます。
・漢文…このなかにあって、漢文は単純なストーリーが多いですが、役職が「A→B→C」といった出世話、「自然は川が流れて、命が育つ=人間も血液が流れて命が保たれる」といった類推関係、比喩で「多項」になっていきます。
なぜ「多項」かというと、選択肢を五つ作らなくてはならないからなんですね。


【問一】
白文の問題、返り点つき、送り仮名なし。「与」に返り点がついていない、動詞の上にある、さて、なんて読む?
【解答】
(ともに)
【解説】
「与」は典型的な「多義字(たくさん意味をもった字)」です。
明日、出ないかな?
・返り点なし、動詞の上だったら、副詞「ともに」。ちなみに副詞は修飾語だから、ゼッタイ返り点はつきません。
・返り点がついて、動詞だったら、「授与動詞」。「A与BC」で「A(主語)B(補語)にC(目的語)を与ふ。」です。ちなみに、「補語」「目的語」は名詞(句)がきますから、構文さえ知っていれば読めます。だいたい、バツの選択肢のひっかけになるかな。たまに、私大など、白文読みだしますが。
・返読文字。「与」を「と」って読むときは、必ず返るよ。返らないで「と」と読んでる選択肢はすべてバツ、イッパツ、ひっかけ見破れるね。
↓ ↓ ↓
漢文のツボ 其の九


【問二】
白文の問題、返り点つき、送り仮名なし。「与」に返り点がついている、「A与(返り点)B」の形で、「A」「B」並列関係、さて、なんて読む?
【解答】
(AとBと)
【解説】
上述のとおり。

【問三】
白文の問題、返り点つき、送り仮名なし。「且」に返り点がついている、「A且(返り点)B」の形、「A=名詞」「B=動詞」、さて、なんて読む?
【解答】
(A(主語)且(まさ)にB(せ)んとす。)
【解説】
副詞「且(か)つ」と二マタをかける。「且」を再読文字で読むときには、「且=将」で「まさに~んとす」です。白文になるとけっこう難しいよ。「将」きいてもしょうがない。誰でもできるからね。私大、国立二次で記述、「んと」わすれがちだよ。「再読文字」って、古文で言えば「呼応の副詞」、一回目「副詞」、二回目「助動詞」で読んでいるのです。だから、「んとす」で、古文の助動詞「むず」のはたらきしているんだね。


【問四】
白文の問題、返り点なし、送り仮名なし。「使」がある。「A使BC」の形で、「A=人物」「B=人物」「C=動詞」、さて、なんて読む?
【解答】
(A(主語)B(人物)をしてC(せ)しむ。)
【解説】
今年もセンター、出さないかな?
笑っちゃうぐらいバレバレなんだけど、「使役」は白文読みの王様。直後に「使役対象(こき使う対象)」がくる、だいたい人物だね。その後に動詞がくる。かなり特殊な返り方をするから、むしろわかりやすい。
「主語+使+人物+動詞」=主語、人物をして動詞未然形しむ。
使役の助字は「使・令・教・遣」、「しれいきょうけん」って覚える。でも、出るのは「使」でしょ。で、選択肢の中に「使者が~」ってあるのが、笑うところだよ。


【問五】
置き字(前置詞)「於」、直前に「形容詞」「形容動詞」があったら、なんの構文?
【解答】
(比較)
【解説】
「於・于・乎(オ・ウ・コ)」の置き字の三用法はくれぐれもしっかり!「其の九」見ておいて。受験生の盲点。白文読みになると、大活躍します。
・「主語+動詞+於于乎+名詞」=主語、補語に動詞す。
・「A形容詞・形容動詞+於于乎+B」=AはBより(も)形容詞・形容動詞
・「A+他動詞+於于乎+B」=A、Bに他動詞(せ)らる。
と、大丈夫かね?


【問六】
白文の問題、返り点なし、送り仮名なし。「A不若B」読めるかな?
【解答】
(AはBに若(し)かず。)
【解説】
「若」「如」はイチバンでる「多義字」です。センター大好き!ですが、出たらあまりにバレバレなような…それぐらい、出る!「其の九」の二マタ文字、試験直前に見ておいて。出る可能性は、あまりに高いが。
・「無・不+若・如」と否定詞があったら、比較。
・返読文字、返り点がついていたら「若如(ごと)し」の比況形くさい。
・アタマにある、動詞の上にある、「若如~主語述語、主語述語」と句が割れていたら、仮定形、仮定の副詞で「若如(も)し~已然形・未然形+バ、(則ち)~」と、「レバ則」なんかあったら、バレバレ。「則」は仮定条件、確定条件とわず、「条件と帰結」をつなぐからね。


【問七】
読みの問題。「奈何」なんて読む?
【解答】
(いかん(せん))
【解説】
「いかん」は読めるようにね。
ただ、疑問詞の読みは、あまり悩まない。「5W1H」何が疑問の対象になっているかは、文脈見ればある程度わかるからね。
・人物を問う→「たれか」
・場所を問う→「いづくにか」
とかね。
むしろ、文脈考えて、「反語」で問われたとき、しっかり選択肢選べるようにね。


【問八】
本文の後半で白文、返り点なし、送り仮名なし。文脈上、答えがわかりきっていて「安A」とある、さて、なんて読む?
【解答】
(安(いづく)んぞA(せ)ん(や)。)
【解説】
疑問…疑問詞~連体形。
反語…疑問詞~ん。~んや。
でいいんじゃない。
で、問われるのは「反語」でしょう?なぜなら古文漢文現代文、「反語」は強調表現、漢文なら、「事件→教訓」と展開して、おしまいのほうで傍線、問5になる、って位置づけ。「反語」もしっかりゲット、よって問6要約系高配点もウマウマいただく、って寸法ですぜ。漢文の話型、「其の九」見ておいてください。


【問九】
白文の問題、返り点なし、送り仮名なし。「為A所B」、訳せるかな?
【解答】
(AにBされる。)
【解説】
受身がでるなら、コレだろうね。「Aの為にB(せ)らる」で「AにBされる」って、フツーに受身だからね。シンプルだけど、白文になると受験生、できないモンだよ。ましてや、「為~~~所~~~。」と距離が開くと、とくにできない。要注意!

【問十】
漢詩の問題。七言律詩「一~八句」のうち、句末で押韻している句は?対句になっている句はどれとどれ?
【解答】
(一、二、四、六、八句末)
(三、四句と五、六句)
【解説】
・一句が五字なら「五言」、七字なら「七言」。
・四句構成なら「絶句」、八句構成なら「律詩」。
・押韻…偶数句末。ただし、「七言だけは一句目も踏む」。
・対句…律詩の三四句、五六句が対になる。
で、七言律詩、四、または六句末虫食い、押韻から二者択一にしぼれる、対句で正解、というのがお約束です。

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おつかれさまでした。
配信が遅れて、ほんとうに申し訳ありません。
が、漢文、たったコレだけよ。
で、「50/200点」かせげるんだから、メチャメチャ、コスト(時間)パフォーマンス高いんだ。
予想するまでもないけど、あした、
・使役
・反語
出るだろうね。
古文はやっぱり和歌でるだろうね。「和歌は二つでワンセット」、贈答歌二つを指示して、「解説として正しいもの選べ」ってな感じで、出すだろうね。
と、ボチボチ、センター古文、和歌の修辞出してもいいころだけどね。「掛詞」「序詞」「枕詞」「縁語」大丈夫かい?もし不安なら、古文のツボ見ておいてください。
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座『古文のツボ』 〈目次〉

それでは、朗報、お待ちしております。
ガンバレ~!

添削担当者(谷村)

追伸
そだそだ!
センター国語は「多項」の問題。
だから、漢文読解、「人称」に注意せねばだよ!

【人称】
・寡人(かじん)…諸侯のへりくだり一人称。
・臣(しん)…臣下の一人称。
・妾(しょう・わらは)…女性のへりくだり一人称。
・朕(ちん)…王様の一人称。
・卿(けい)…敬意をこめた二人称。


ダイジョビ?

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メールマガジン「大学受験実戦古典文法小テスト」

★発行責任者:フットプリンツ 添削担当者(谷村)
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【2011/01/14 20:33】 | フットプリンツのメルマガ | トラックバック(0) | コメント(0)
【第二回 実戦古文小テスト(読解篇) 解答解説】
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第二回 実戦古文小テスト(読解篇) 解答解説
めざせ!古文の五つ星!!
【第二回】
★★★★★
第二十号(2010/12/25)
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配信遅くなりました。
それにしても、
お寒いですなう。
寒い夜にホットな古文のツボ、
ついていきやしょう。
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【今回の試験範囲】
参考書
「古文の基礎」「古文のツボ」 http://wsfp.blog71.fc2.com/blog-category-22.html
今回の範囲は「古文のツボ 全範囲」です。
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配信は、毎週、金曜日に「問題」、
翌日の土曜日に「解答」
翌々日の日曜日に「解説」
お送りします。
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【第二回 実戦古文小テスト(読解篇) 解答解説】
(3点×10=30点)

1.(3点)
和歌の評価について、「すぐに、その場の状況をふまえて巧みに和歌を詠む」、それを漢字四字で言うと?
(   )
【解答】
( 当意即妙 )
【解説】
いわゆる「歌徳譚(かどくたん)」、別れた男が女の和歌に感動して帰って来る、失敗をしでかしたが和歌を詠んで罪が許される、上(下)の句を詠まれて連歌をいどまれる、題を与えられて詠まねば、和歌を詠みかけられて返歌、など、和歌を詠まねば、の状況で、「かづく(四段/下二段)」、「たまふ/たまはる」など「禄(ろく)」としての衣のやりとり、帝からほめられる、と、古文で読んだでしょ?
和歌に優れていると、幸せがおとずれる。和歌のおかげでハッピーになれる。これが「歌徳譚」です。場合によっては、神、仏を感動させて、幸せ、とね。
これらは、平安から江戸期まで通底する和歌をめぐる価値観なのです。時にそれが日記となり、説話となり、歌論となり、手をかえ品をかえ、「和歌はハッピーをもたらすよ」という「ドラマ」を生み出していく。で、高配点系要約系で問われてくるのが「和歌評価」です。
・問 なぜ罪が許されたのか?
・問 なぜ帝からほめられたのか?
・問 なぜ褒美をいただいたのか?
・問 なぜ奇跡がおこったのか?
とかの問、東京大学の二次記述とか、ですね。受験生最後の最後は演習量の勝負っていってきましたね?演習量をこなしてきた受験生ならピンとくるはずです。こないようなら、決定的に演習量が足りていません。
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の七


2.(3点)
八代集を成立順に正しく並べよ。
a.『千載和歌集』
b.『新古今和歌集』
c.『拾遺和歌集 』
d.『詞花和歌集』
e.『後撰和歌集』
f.『後拾遺和歌集』
g.『古今和歌集』
h.『金葉和歌集』
( → → → → → → → )
【解答】
(g→e→c→f→h→d→a→b)
【解説】
ゴロで覚える八代集
「古今、ゴシュゴシュ金曜しか洗剤使えないよ、新古今」
って、わたくしが講師時代、ヨコハマの生徒さんからおそわったんでがすが、
今じゃ全国区になっているような…。
「古今集」は選者四人と六歌仙、しっかりね。勅命を発した帝もね。
「後撰集」は清少納言の父、清原元輔、問われるよ。
「千載集」は五条三位(ごじょうのさんみ)俊成で問われるよ。
「新古今」は西行「山家集」がらみ、定家の歌論がらみ。
で、早稲田大学とか、「何番目か」って聞くからね。
しっかり「ゴシュゴシュ」しておくように!
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の八


3.(3点)
次の作品を成立順に並べよ。
イ、『水鏡』
ロ、『大鏡』
ハ、『増鏡』
ニ、『今鏡』
( → → → )
【解答】
(ロ→ニ→イ→ハ)
【解説】
歴史物語、『栄華物語』『大鏡』ほぼ同時代、で、よく出題される。
ついでに文学史、ってヤツだね。
『水鏡』は書かれてある内容(歴史)が最古。
ちなみに、現代文、評論で「歴史論」「物語論」とかよくでるじゃない?早稲田大学。
「モノ語り(ナラトロジー)」という点で、必ずといっていいほど「具体例」として例示されるのが『大鏡』、つまり、現代文でも出るってことなんだな。
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の十七


4.(3点)
本来の望みを遂げようとする、特にも出家をしようとする際、それを妨げるもの(老いた親、愛する配偶者、恋人、幼い子どもなど)を何と言うか、漢字一字で記せ。
(   )
【解答】
( 絆 )
【解説】
課題文の文脈がどんなに長かろうが、「絆(ほだし)」って単語が出てくると、イッパツ、前後の文脈がわかる、和歌の内容が読める、という読み、できるようにね。「出家譚」の話形の典型。わたくしが講師時代に試験会場に送り出した受験生たちは、まさしくソルジャー、
「他の受験生が20分かけているところ、10分で満点イモヅルでとりなよ」
って送り出したものでしたっけが…。
オイシすぎます!
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の十三


5.(3点)
仏教において、後に幸せをもたらす原因となる善い行いを漢字二字で記せ。
(   )
【解答】
( 功徳 )
【解説】
仏教の「善因は善果をもたらす」という、「因果応報思想」によるもの。
・聖(ひじり)など、尊い僧を呼んで、お布施を出して経を読んでもらう。
・貧しいものに施しをする。
さらには、
・わが身を捨てて、一身に仏に仕える(出家)。
は最大の「功徳(くどく)」、
一生をとおして、「悪因悪果」すなわち、前世での「悪因」を現世、この世で「悪果=苦しみ、悲しみ」をあじわってチャラにしていく。借金を返す発想ですね。
で、「功徳」を積むことで、来世の幸福を願う。貯金を積む発想。
前世の「悪因」はチャラ、
来世への「善因」すなわち「功徳」は満額、
そのような人は俗世に生まれ変わって苦しみ、悲しみを味わう必要はない、「因果」から開放されるのです。そのような人が行く先は…、
そう、「極楽」。めざせ!「極楽往生」、これがわらわれが受験の課題文として読んでいる古文の世界の「死生観」なのです。
だから、近親者の死など、ひどい「悲しみ」にあうと「出家、出家」って文脈が展開するのは、善因を積むため、現世を捨てて来世にそなえ功徳を積むためなんですね。

6.(3点)
善い行いは幸せをもたらし、悪い行いは苦しみ、悲しみとなっておとずれる、このような仏教の根本思想をなんと言うか、漢字四字で記せ。
(   )
【解答】
( 因果応報 )
【解説】
上述のとおり。このテの文脈って、「死」「悲しみ」と、古文世界の最大のドラマじゃない?
現代の映画とかでもそうでしょ?だから、しょっちゅうネタとなるわけ。
古文に関しては「死」はオイシイテーマなのです。
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の十


7.(3点)
仏教の「三世」の思想において、「さきの世」とは何を意味するか、次の中から選べ。
イ、前世
ロ、現世
ハ、来世
(   )
【解答】
( イ )
【解説】
〈三世(さんぜ)〉
・前の世(さきのよ)…前世
・この世…現世
・後の世(のちのよ)…来世
は、古文でよく展開する時間軸。仏教思想によるわけ。
で、男女の関係とか、人の死とか、「これ、すべて前世からの因縁」と登場人物は考えるわけさ。
・契り(ちぎり)…前世からの約束、因縁。
これら、「因果応報思想」の世界観における「三世」「功徳」「出家」「絆」って、一連のストーリーになっていくじゃない。読解最速、設問イモヅル、
てか、課題文、ほとんど読まないで設問が解けるはずなのです。オイシ~!

8.(3点)
和歌の指示語において、「腰」とは何を意味するか、次から選べ。
イ、第一句
ロ、第三句
ハ、第四句
ニ、上の句
ホ、下の句
(   )
【解答】
( ロ )
【解説】
和歌の指示語、歌論などでよく用いられます。
・本(もと)…上の句
・末(すゑ)…下の句
・腰…第三句
は、本文中に出てきたら必ず設問になります。
「口語訳をせよ」
だったら楽勝!わからなくても時間までは失わない。ところが、
「~にあたる部分を本文中から抜き出せ」
て、指示内容を問う問題になると…
わかってる人は和歌だけ見るでしょう。わかっちょらん人は本分最初から読みなおして、時間と点数おとしていく、決定的に合否の分かれ目となっていく設問、おとろしか~。
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の六


9.(3点)
和歌にまつわる表現で、「腰折れ」とは何を意味するか、記せ。
(   )

【解答】
( 下手な歌 )
【解説】
「五/七/五/七/七」合計31だから、和歌のことを「三十一文字(みそひともじ)」と言ったりしますが、「腰」だから、ヒップにあたる部分、ちょうど真ん中、第三句なのです。上の句と下の句のブリッジ、大事なつなぎ目なのです。そこでポキンと折れているから、「上の句と下の句がきちんとつながっていない、下手な歌」というわけ。

10.(3点)
次の和歌で、「かれ」が掛詞になっている。掛けられているのは「枯れ」と何か?漢字を用いて記せ。
・(男の来訪が途絶えて、恨みがましい気持ちを詠んだ女の歌)
人心あきのしるしの悲しきにかれ行くほどのけしきなりけり(堤中納言物語)
(   )
【解答】
( 離れ )
【解説】
男女関係モメモメの文脈、だいたい男は「あだ(浮気)」と相場が決まっていますから、男がよそに新しい女を作って三角関係、残された昔の女が恨みがましく和歌を詠む…なんて文脈で、
・「あき」で「秋/飽き」掛詞。
・「かる」で「枯る/離る」掛詞。
男女ラブラブの文脈、に限らず友情、親子の愛情など、「アツイ愛情」の文脈で、
・「思ひ」の「ひ」に「火」を掛ける。
で、「火」の縁語が和歌中にある、ってパターン。
いずれ、掛詞は場数踏むこと。いつもいつも、行き当たりばったりテキトーに掛詞をとってきた人は、本番で必ずしっかけられます。問題作っている人はアホじゃないから、きちんとひっかかる選択肢を準備して待っています。
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の五


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【添削担当者(谷村)からのアドバイス】

おつかれさまでした。
さて、いくつできたかな?
自信をつけて新年を迎えてください。

★★★★★30点満点
いいね、いいね。
よかですよ!
その調子で、ガンガン、読解量を「しり上がり」にあげていってください。

★★★★27点
おしか~!
漢字書けなかったかな?
「かな」でもOK、用語としておさえて読解にいかせればよし。

★★★24点
あきらかに「穴」あり。
「古文のツボ」ソッコーで確認して、
今までに読んだ古文、時間書けずにザッとおさらいしてみて。
「やってる」って。

★★21点
古文はそこそこやった、
でも「ツボ」をつかんでいない。
最後の最後に「穴」に気がついてよかったじゃない。
「古文のツボ」よく読んでみて。

★18点
単語集の暗記ばかりしていなかったかな?
読解の演習量をこなさないと、
「古文のツボ」は見えてこないよ。

無星15点以下
読解量が足りていませんね。
文学史も含めて、
ガンガン演習量こなすべし。
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【あとがき】
いわゆる「定型」として古文読んじゃおう、
時間かけずにイモヅルで点かせいじゃおう、
というもの。
オイシイでしょ?
で、かせいだ時間を評論に注いでいくから、現代文でさらに点差が離れていく、
これがサバイバルレースで生き残っていく受験生の戦い方なんだな。
優先順位もなしにベターッと勉強して、
ベターッと模試受けてきた人は、
本番でも同じ、ベターッと解いて、タイムアウト!
反対、
メリハリつけて勉強してきた人は、
メリハリつけて模試を受け、
本番でもメリハリつけて解いて合格。
「ノリ」というか、「リズム」の勝負なんだ。
それは囲碁将棋だろうが、スポーツだろうが、
同じじゃない?
イケてる選手って、「リズム」をもっている。
もし、ここでそれに気がついた人は幸いなり!
残りの時間で「リズム」の調整していけばいい。
どうすればいいか?
だから、「古文の基礎」には★マークをつけ、
「古文のツボ」では「全体像」すなわち「話型」「背景思想」を書いていったんだな。
これらザッとおさらいして、
もう一度今まで演習してきた古文、ザッピングしていくだけ。
もう一回、精読しているはずだから、一題5分もあれば読めるはず。
で、
「やっぱり!」
って言っていただけたら、
小テストの作題者としてシアワセです。

年が明けたら、センター直前、漢文をやっていくよ。
「漢文のツボ」目をとおしておいてください。

それでは、来年がみなさまにとって最高の年となりますように!!

添削担当者(谷村)

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【2010/12/29 15:52】 | フットプリンツのメルマガ | トラックバック(0) | コメント(9)
【第一回 実戦古文小テスト(読解篇) 解説】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~★
第一回 実戦古文小テスト(読解篇)
めざせ!古文の五つ星!!
【第一回】
★★★★★
第二十号(2010/12/18)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★
遅くなりました。
ごめんなさい。
今回は、出題ミスが続き、
申し訳ありませんでした。
今後は、しっかりみなおして配信いたします。
では、解説、はじめましょう。
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【今回の試験範囲】
参考書
「古文の基礎」「古文のツボ」 http://wsfp.blog71.fc2.com/blog-category-22.html
今回の範囲は「古文のツボ 全範囲」です。
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配信は、毎週、金曜日に「問題」、
翌日の土曜日に「解答」
翌々日の日曜日に「解説」
お送りします。
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【第一回 実戦古文小テスト(読解篇) 解答】
(3点×10=30点)

【問一】次の和歌の〈 〉を補うのに適当な語をひらがなで記せ。仮名遣いは問わない。
枕詞の問題です。
「枕詞」決まって「五音(例外もアリ)」、下にくる語は決まっている、定型の表現です。普通は虫食いの選択肢問題になりますが、今回はノーヒントで虫食いにしました。あまりモメないところで出しましたが、「他にもある」って言わないように。あくまで受験レベルの枕詞です。
早稲田の文学部で「たまくしげ→箱」だったか、シブイの出したことがありますが、おおむね、受験で出る枕詞は百人一首が基準になっているはずです。
主なものを覚えればおしまい。カンタン。
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の二

1.(3点)
〈  〉わが黒髪はかはるらむ鏡の影に降れる白雪(古今集)
【解答】
(ぬ(う・む)ばたまの)
【解説】
「ぬ(う・む)ばたまの→黒・夜・闇・髪」色の黒いものがくる。
口語訳…
私の黒髪は白髪に変わっているのだろうか。鏡の姿に降っている白雪だよ。

2.(3点)
家にあれば笥(け)に盛る飯(いひ)を〈  〉旅にしあれば椎(しひ)の葉に盛る(万葉集)
【解答】
(くさまくら)
【解説】
「草枕→旅」
草を結んで枕にして野宿することから。「草枕」だけで、「野宿」を意味する。
口語訳…
家にいるときには器に盛る飯を、旅の空にあるので椎の葉に盛ることだよ。

3.(3点)
〈  〉山の雫(しずくに)妹(いも)待つとわれ立ち濡れぬ山の雫に(万葉集)
【解答】
(あしひ(び)きの)
【解説】
「あしひきの→山・峰(を)」
口語訳…
山の木々から落ちる雫の下で恋人を待って立っていると濡れてしまったよ。山の雫で。

4.(3点)
〈  〉わが黒髪はかはるらむ鏡の影に降れる白雪(古今集)
【解答】
(ぬ(う・む)ばたまの)
スミマセン┏○゛ペコ。設問がかぶってしまいましたね。

5.(3点)
あまざかる〈  〉の長道(ながち)ゆ恋ひ来れば明石の門(と)より大和島見ゆ(万葉集)
【解答】
(ひな)
スミマセン。設問の和歌、「の」を忘れてしまいました┏○゛ペコ。「ひな」がいえてれば、マルしてください。
【解説】
「天離(あまざか)る→鄙(ひな)」
「鄙」は田舎、「あまざかるひな」で、ド田舎の代名詞。今でも「ひなびた温泉宿」なんて定型表現ですね。
口語訳…
田舎の長い道を、都を恋しく思いながらやってくると、明石海峡から大和が見えるよ。

6.(3点)
〈  〉母が飼う蚕(こ)の繭隠(まよごも)りいぶせくもあるか妹(いも)に逢はずして(万葉集)
【解答】
(たらちねの)
【解説】
「垂乳根(たらちね)の→母・親」
口語訳…
母が飼うかいこが繭籠りするように、気が晴れないことだ。恋人に逢うことができないで。

7.(3点)
・あをによし〈  〉の都は咲く花の薫(にほ)ふがごとく今盛りなり(万葉集)
【解答】
(なら)
【解説】
「あをによし→奈良・国内(くぬち)」
口語訳…
奈良の都は、咲く花が色美しく今が盛りだなあ。

【問二】
次の和歌の中から序詞を正確に抜き出せ。
「序詞」は、「七音」以上で、下の語を導くはたらきをする、前フリ表現。
1.意味の関係から導く「序詞」
2.同音の関係から導く「序詞」
3.掛詞を導く「序詞」
の三用法をしっかりおさえる。
「序詞」は「枕詞」と似ているから、まちがいやすい。
・下の語の前フリとなる。
この点では同じ。ただのお飾りなんだけど、訳すときは「枕詞」は訳さない。「序詞」は一応訳す。
で、「序詞」は自分で「ここからここまで序詞」って判断しなくてはいけないからメンドクサイ。実は難しい。和歌は何かしら「感動」を歌にしたもの。和歌の感動の中心と関係ない、ある「語」の前フリになっていたら「序詞」と判断する。
また、近世江戸期、普通の文章の修辞として盛んに「枕詞」「序詞」が用いられていきました。で、センターで江戸期、「序詞」の虫食い出したことあります。出すなら立教、青山、上智とか、早稲田かな。
だから、ここで三つの用例、しっかりおさえて。
↓ ↓ ↓
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の三


8.(完全解答 3点)
立ち別れ因幡(いなば)の山の峰に生(お)ふるまつとし聞かばいま帰り来む(古今集)
【解答】
(因幡の山の峰に生ふる)
【解説】
「因幡の山の峰に生ふる」が「松」の前フリ。掛詞「待つ/松」のかたわれをひっぱり出すはたらきをしています。「掛詞を導く序詞」です。
和歌の感動を考えて。「別れても、君が待っていると聞いたら、すっ飛んで帰ってくるよ。」と、別れの気持を詠んだもの。「因幡の山は美しいなあ」と、景色を詠んだものではない、だから前フリ表現「序詞」と考える。
口語訳…
お別れして因幡の国へ行くが、その山の峰の「松」ではないが、あなたが私を「待つ」と聞いたら、すぐに帰ってきますよ。

9.(完全解答 3点)
瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ(詞花集)
【解答】
(瀬をはやみ岩にせかるる滝川の)
【解説】
「瀬を早み岩にせかるる滝川の」が意味の関係から「割れ」の「序詞」。急流の水は岩にせき止められると、そこで水の流れは「割れる」でしょ。
和歌全体の感動の中心考えて。「別れても、いつか君と一緒になるよ。」と、アツイ思いを詠んだもの。「滝川」とかの景色を詠んだものではないでしょ?
口語訳…
川の瀬の流れが早いので、岩によってせき止められる滝川の流れのように、いったん別れても、最後にはあなたと一緒になろうと思っていますよ。
※「瀬を早み=名詞+を+形容詞語幹+み」…「名詞が形容詞なので」と、和歌だけで用いられる原因理由の構文。

10.(完全解答 3点)
多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児(こ)のここだ愛(かな)しき(万葉集)
【解答】
(多摩川にさらす手作り)
【解説】
「多摩川にさらす手作り」が、同音「さら」の関係から「さらさらに」の前フリになっている、「同音関係から導く序詞」です。同じ音があるから、いちばん判断しやすいはずですが。
和歌の感動の中心考えて。「この子がメチャメチャ愛しいよ」という気持を詠んだ和歌。「多摩川」とか「手作り(手織り布)」とかに感動しているわけではない。
口語訳…
多摩川にさらしている手織り布のように、いっそうますますこの子がとても愛しいことだよ。
※「さらさらに」は「いっそう・ますます」。

---------------------------------------------------------------------★
【添削担当者(谷村)からのアドバイス】

おつかれさまでした。
最後、いくつできましたか?
今回はミスが多くて、ほんとうに申し訳ありませんでした。
反省!!┏○゛ペコ

★★★★★30点満点
いい感じです。難関大学バッチリ!

★★★★27点
「序詞」でひっかかったかな。でも、けっこういい感じです。

★★★24点
和歌、集中的におさらいしてみてください。
出ると点差開きますよ。

★★21点
和歌はいちおうやった、でも、まだツメきれていない、って感じかな。
和歌の修辞、30分ぐらいでおさらい。

★18点
和歌、あまり意識してやってこなかったね。
とりあえず、センターが近づいていますから、急いで和歌をやってください。
今年もきっと出るよ!

無星15点以下
和歌、ほぼやっていないね。
学校の定期考査とかではやったけれど、それほど意識してこなかった、ってパターンかな。
和歌の修辞やったら、センターの過去問やってみて。
和歌がどのような形で設問になっているか確認して。

---------------------------------------------------------------------★
【次回の試験範囲】

参考書
「古文の基礎」「古文のツボ」 http://wsfp.blog71.fc2.com/blog-category-22.html

次回の範囲は同じく「古文のツボ 全範囲」です。

---------------------------------------------------------------------★
【あとがき】
今年もセンター古文、和歌だすべし、だよ。
くれぐれもぬかりのないように。
それから、やはり「和歌」は単独で、ってよりも、
文脈の中で演習せねば、です。
センターの過去問やって、
自分の志望校の過去問やって、
模試の復習やって、
どんな具合で和歌が問題になっているか確認。
和歌に直接、傍線ひかないで、文脈説明、人物説明、要約問題、和歌の贈答をめぐるコミュニケーションとか出すのがおしゃれな作題です。
最近の傾向を見ると、センターも「和歌の修辞の説明として正しいもの(誤っているもの)を選べ」ってベタな問題、出すかもね。
それから、立教、早稲田、上智とか、近世江戸期の課題文のとき、「和歌の修辞」が問題になっていないか、確認してみてください。なぜ、和歌の修辞が大切か、って、じつはこのあたりにあるんだな。出ると、点差が開いていくのです。

それでは、次回はミスのないようこころがけます。

添削担当者(谷村)
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【2010/12/22 16:36】 | フットプリンツのメルマガ | トラックバック(0) | コメント(28)
【第八回 実戦古典文法小テスト 解説】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~★
大学受験実戦古典文法小テスト
めざせ!古文の五つ星!!
【第八回】
★★★★★
第十六号(2010/12/11)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★
遅くなりました。
さて、ひととおり、文法敬語、たどってきましたよ。
最後の仕上げに、
得点力の増強に、
お役に立ったなら幸いですが…
さて、
はじめましょう。
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【今回の試験範囲】
参考書
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今回の範囲は「古文の基礎 其の七十一~其の八十」です。
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配信は、毎週、金曜日に「問題」、
翌日の土曜日に「解答」
翌々日の日曜日に「解説」
お送りします。
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【第八回 実戦古典文法小テスト 解説】

1.
次の〈 〉内を口語訳せよ。
・世の中に〈物語といふもののあなるをいかで見ばや〉と思ひつつ…。
(          )
【解答】
(世の中には物語というものがあるそうだが、なんとかして読みたい)
【解説】
「あるなる」→撥音便おこして「あんなる」で、撥音便無表記。
撥音便+「なり」=伝聞・推定にキマリ!
「世の中」の状況ですから、伝聞(~そうだ、~ということだ)。
「ばや」は未然形に接続し、「自己の希望(~したい)」を表す終助詞。
「いかで」は副詞、意志や希望の表現と呼応して、「どうにかして、なんとかして~しよう、したい、してほしい」
と、「いかで~ばや(なんとかして~したい)」
記述の王様、ラクチンだけど、配点が高いから死んでも落とさないように。重要単語とからめて、あるいは指示語の内容説明とからめて、「3点4点/100点」といった問題かな。
ちなみに、「いかで」は疑問、反語でもよく用いられるので、注意が必要。
よく出るのが、
・いかで~む。
「む」が意志なら、「なんとかして~しよう」
「む」が推量なら、疑問「どうして~だろうか。」、反語「どうして~だろうか、いや、~ない」。立教とか、よく出してます。
ちなみに、反語で推量「む」を訳すときは、「どうして~できようか、いや、できない」と、可能推量で訳すとうまく訳せることが多いです。
・いかで人を笑はむ。(どうして他人を笑うことなどできようか、いや、できない。)
とかね。東京大学など、国立二次の記述、知っておくと使えるよ。

2.
次の〈 〉内を口語訳せよ。
・世の中に〈さらぬわかれのなくもがな〉
(          )
【解答】
(死別がないとよいのになあ・なければなあ)
【解説】
「さらぬわかれ」=「避らぬ別れ」=人として避けられない別れ=死別
「~がな」「~もがな」は接続はいろいろ、ある事態の実現を願望する終助詞。
「~であればなあ、~があればなあ、~がほしいなあ」
といろいろ訳す。実戦ではいちばんツッコミたいところだね。いろいろ訳せるから。

3.
次の文を口語訳せよ。
・いつしか梅咲かなむ。
(早く梅が咲いてほしい)
未然形+「なむ」=田に対する希望(あつらえ)を表す終助詞、「~してほしい」。
副詞「いつしか」は意志、希望の表現と呼応して、「はやく~しよう、したい、してほしい」、
と、お約束の記述問題。やはり記述の王様で、上記「いかで」と同じノリで問われるだろうね。
以上、希望、願望の終助詞、助動詞は記述で出るよ。
終助詞「ばや」「てしがな」「にしがな」「がな」「もがな」「未然形+なむ」
↓ ↓ ↓
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十二


助動詞「まほし」「たし」
↓ ↓ ↓
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の五十六


4.
次の〈 〉内に適当な語を補え。
・この山に我ありといふことを、〈 〉人に語るべからず。
イ、よも
ロ、いかで
ハ、な
ニ、ゆめゆめ
(   )
【解答】
( ニ )
【解説】
イ、よも(副詞)~打消推量「じ」=まさか~ないだろう。
ロ、上掲のとおり。
ハ、な(副詞)~終助詞「そ」=~しないでくれ、~してくれるな(やわらかい禁止)。
ニ、ゆめ(ゆめ)(副詞)~禁止=決して~するな(強い禁止)
「べからず」は、いわゆる「べし=スイカとめて」の打消し。推量、意志、可能、当然、命令、適当。打消しの命令は、すなわち、禁止です。
呼応の副詞は、私立なら虫食い、国立二次なら記述ってところかな。
呼応の副詞は、主なものを覚えてしまえばオシマイ。
↓ ↓ ↓
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十三


5.
次の〈 〉内に適当な語を補え。
・み吉野の山の秋風さ夜ふけて
    ふるさと寒く衣打つ〈 〉(新古今集)
イ、断定の助動詞「なり」
ロ、推定の助動詞「なり」
ハ、現在推量の助動詞「らむ」
ニ、推定の助動詞「めり」
(   )
【解答】
( ロ )
【解説】
「打つ」は四段活用だから、終止形と連体形がおなじ。断定も推定も入りうる。
「衣打つ」というのは、秋の季語。衣をトントンたたいて、ふんわりさせる、いまで言えば、「ソフラン」でふんわりさせる感じスか?冬にそなえて衣をほっこりふんわりさせようというもの。
で、現代人にはわかりづらいのですが、「音」がしている、よって聴覚による推定(~ようだ)です。
・「ころも打つなり」の「なり」は推定に決定!
・「鳴くなり」の「なり」は推定に決定!
藤原俊成、すなわち『千載集』以降、『新古今集』とか、和歌でバカスカ用いられた表現です。中世歌論出す早稲田大学とか受ける人、知っとかないとだよ。聴覚推定「なり」、視覚推定「めり」、現在推量「らむ」とか、和歌で多用されるけど、その推量、推定の背景、わかるかな?難関大学を受ける人は要注意!
「なり」の識別
↓ ↓ ↓
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十四


6.
次の〈 〉内の説明として正しいものは?
・いと恥づかしう〈なむ〉。
イ、終助詞「なむ」
ロ、助動詞「ぬ」+助動詞「む」
ハ、係助詞「なむ」
(   )
【解答】
( ハ )
【解説】
シク活用形容詞「恥づかし」本活用連用形「恥づかしく」のウ音便に接続、
形容詞の本活用連用形に接続した「なむ」は、ゼッタイ係助詞「なむ」だよ!
ひっかけの王様、受験生は、
未然形「なむ」=あつらえ終助詞「なむ」=~してほしい。
連用形「なむ」=「ぬ」未然形+「む」=きっと~だろう、しよう。
って、ひっかかるでしょ?
終助詞なら、補助活用未然形「恥づかしからなむ」、
助動詞「ぬ」+「む」なら、補助活用連用形「恥づかしかりなむ」、
です。
だ・か・ら、形容詞の「本活用」と「補助活用」の違いをしっかり!
っていってきたワケ。ココのためなんだね。
・いと恥づかしうなむ(ある)。
結びの省略です。イッパツ、ひっかかるよね。
「なむ」の識別
↓ ↓ ↓
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十五


7.
次の〈 〉内の説明として正しいものは?
・(かぐや姫)「(私は)月の都の人〈にて〉、(月には)父母あり。」
イ、完了の助動詞「ぬ」+接続助詞「て」
ロ、断定の助動詞「なり」+接続助詞「て」
ハ、格助詞「にて」
ニ、形容動詞の活用語尾+接続助詞「て」
(   )
【解答】
( ロ )
【解説】
口語訳…私は月の都の人である。そして、(~であって、)月には父母がいる。
体言・連体形+「にて」=「~である。そして~。」「~であって、」と、訳せるのは断定「なり」の連用形「い」だよ。
口語訳して「である」断定で訳せるのがポイント。必ず、口語訳して確認!カタチでとびついたら、いかん。
格助詞「に」「にて」のポイントは、「動詞」にかかっていくこと。
・友達に話す。
・体育館にて全校集会を行う。
と、それぞれ「話す」「行う」って、動詞にかかっているの、わかるかな?
・「である」って訳せる→断定「に」
・動詞にかかっていく→格助詞「に」「にて」
という判断、カンタンでしょ?最近、センターでやたら出してますが。
「に」の識別
↓ ↓ ↓
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十六


8.
次の〈 〉内を口語訳せよ。
・秋の田のかりほの庵(いほ)〈とまをあらみ〉
   わがころもでは露にぬれつつ(後撰集)
※庵(いほ)…仮小屋
※苫(とま)…屋根がわりのゴザ
(          )
【解答】
(苫が粗いので)
【解説】
・名詞+「を」+形容詞語幹+「み」
=名詞が形容詞なので、
和歌でのみ使われる原因理由を表す構文、頻出。
例文のように、ク活用形容詞語幹、「かな」で書かれると、マジでわかんない。
・野をなつかしみ
と、シク活用なら、終止形と語幹が同じだから、パッと見りゃ、わかる。
だから、「和歌で、訳を聞かれて、『み』ってあったら、上に『し』をくっつけて、ク活用形容詞をほじくり出す」と考えましょう。
「あらみ」ってナンダ?
「あらし」?
「粗し」!
と、こんな具合です。
口語訳…
秋の田の仮小屋の屋根の苫が粗いので、(露が落ちてきて)わたしの袖は濡れることだよ。
以下は、和歌に関する重要構文を参照してください。難関大学を目指す人は、要注意!
↓ ↓ ↓
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十七


9.
次の和歌の「説明として」正しいものは?
・駒(こま)並(な)めていざ見に行かむ
   ふるさとは雪とのみこそ花は散るらめ(古今集)
イ、まだ見ぬ桜に思いをはせながら、馬に乗って向かっている。
ロ、雪のように散る桜の中、馬を並べて進んでいる。
ハ、雪のように桜がちるようだ、と馬に乗りながら想像している。
ニ、雪のように桜が散ってしまうといけないので、馬を急がせている。
(   )
【解答】
( イ )
【解説】
現在推量「らむ」、現在推量とは、「目の前にない、今現在の事実の推量」をして「今ごろ~しているだろう」と推量している。
発話者(詠者)の置かれている状況、読み取れるかな?というハイレベルな問題。
「事実が眼前にない」というのがポイント。
ただし、「らむ」は原因推量もあるから、チョー難解なんだな。
早稲田大学、上智大学ですね。
口語訳…
馬を並べて、さあ、見にいこうよ。なじみのあの土地では、今ごろ雪が降るようにひたすら桜が散っていることだろう。

10.
次の〈 〉の後に補っても文意が変わらない語は?
・春の夜のやみはあやなし
梅の花〈色こそ見えね〉香やはかくるる(古今集)
イ、ば
ロ、とも
ハ、ども
ニ、で
(   )
【解答】
( ハ )
【解説】
「こそ~已然形。」と文が終われば、ただの強調、訳す必要はない。
「こそ~已然形、~」と下の文脈に続く場合は、逆接「~ものの、けれど、が」。
和歌は句読点を打たないから、訳して自分で判断するしかありません。「色は見えない⇔香りはかくれない」と、相反する内容だから、逆接。「ず」已然形「ね」に接続して、逆接をあらわす接続助詞は「ども」です。明治大学の問題でした。
口語訳…
春の夜の闇は道理をわきまえない。せっかくの梅の花の色は見えないが、香りまで隠れようか、いや、隠れない。

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【添削担当者(谷村)からのアドバイス】

おつかれさまでした。
最後、いくつできましたか?
部分点なしの完全解答でキビシク採点してくださいね。

★★★★★30点満点
できるね!難関大学、バッチリじゃん?

★★★★27点
おしか~!
「ひっかけ」にひっかかったかな?

★★★24点
あきらかに「穴」あり。
今回のところは、記述系高配点、和歌系高配点、と、配点が高いんだよね~。

★★21点
古文はそこそこやった、でも「実戦」というのがわかっていないかな?
いそいで「穴」をふさぐべし!

★18点
古文が「時間かかって、点落とす」だから、現代文「時間がないから、点かせげない」。
「古文の基礎」を大急ぎでおさらいしてみてください。

無星15点以下
高1・2生なら、「学校文法」卒業して、「実戦文法」にシフトすべし。
受験生なら、覚悟決めて、時間決めて、「古文の基礎」「古文のツボ」やってください。
優先順位がパッとみてわかるように「★」をつけてあります。
★マークの多い順に、パカパカ、片づけて。
この時期、単語や文法などは「勉強」とは言わない、「息抜き」です。
「勉強」は「読解」ね。
過去問やって、模試の復習やって。

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【次回の試験範囲】

参考書
「古文の基礎」「古文のツボ」 http://wsfp.blog71.fc2.com/blog-category-22.html

次回の範囲は「古文のツボ 全範囲」です。

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【あとがき】
さて、
これで、文法、敬語、ひととおりさらいましたよ。
優先順位を決めてやれば、あっという間でしょ。
これをもとにガンガン、読解量をかせげば、
古文…時間かけずに点かせぐ。
評論…時間注いで点かせぐ。
の必勝パターンに入っていきます。
配点は低いかもしれないけれど、古文や漢文、「時間かけずに点かせぐ」というのは、そのまま、ダイレクトに現代文に反映されていく。
それなのに、「現代文がわかりません」って、「部分」だけ見て悩んでいる受験生のなんと多いことよなう…。
実は、「現代文」の問題じゃない、「古文」「漢文」の問題だったりするのに…。
「現代文」で悩む前に、かせげる「古文」「漢文」の点数あるじゃろう、ということなのに…。
「部分」だけ見て対策、って「やってもやっても伸びない勉強だよ」
って言ってきた意味がわかるかな。
「国語全体」としてとらえないとね。
そうすれば、ズビッ!ズバッ!優先順位が見えてくる、最速最短の合格道が見えてくる。
でも、学校の先生も、塾予備校の講師も、そういう指導している方は少ないんじゃないかな?
もし、この小テストでその「視点」が見えてきたなら、出題者として幸いです。
では、
来週からいよいよ古文読解のツボ!
「古文のツボ」の全範囲から出題していきます。
時間かけずに点かせいでいただきますぜ!!

添削担当者(谷村)
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【2010/12/14 22:24】 | フットプリンツのメルマガ | トラックバック(0) | コメント(28)
【第七回 実戦古典文法小テスト 解答解説】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~★
大学受験実戦古典文法小テスト
めざせ!古文の五つ星!!
【第七回】
★★★★★
第十四号(2010/12/4)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★
全国にっぽん晴れ!
スカッと晴れ上がった青空みたいに、
実戦文法古典文法、
すっきり仕上げに入りましょう!
---------------------------------------------------------------------★
【今回の試験範囲】
参考書
「古文の基礎」「古文のツボ」 http://wsfp.blog71.fc2.com/blog-category-22.html
今回の範囲は「古文の基礎 其の六十一~其の七十」です。
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配信は、毎週、金曜日に「問題」、
翌日の土曜日に「解答」
翌々日の日曜日に「解説」
お送りします。
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【第七回 実戦古典文法小テスト 解答解説】

1.(3点)
次の〈 〉内に補うのに、もっとも適当なものは?
・(光源氏)のぞき給へば、(尼君が)すだれ少しあげて、(仏に)花奉る〈  〉。
イ、らむ
ロ、べし
ハ、なり
ニ、めり
(   )
【解答】
( ニ )
【解説】
・「らむ」は現在推量、眼前にない今現在の推量。(今ごろ~しているだろう)
・「べし」はただの推量、ただし「む」より強い。(~にちがいない)
・「なり」は聴覚に基づく推定。(~ようだ)
・「めり」は視覚に基づく推定。(~ようだ)
眼前の事実なので、「らむ」はおかしい。
「のぞく」とあるので、「見ている」、よって聴覚推定「なり」ではない。
百歩ゆずって、「べし」は「あり」でしょうが、「のぞく」とあるので、「もっとも適当」なのは、視覚推定「めり」です。
・口語訳…光源氏がのぞきなさると、尼君が簾を少し上げて、仏に花を差し上げるようだ。

2.(3点)
次の〈 〉内に補うのに、もっとも適当なものは?
・吉野なる夏実の河の川よどに
鴨ぞ鳴く〈  〉山陰にして
イ、める
ロ、なる
ハ、らむ
ニ、べき
(   )
【解答】
( ロ )
【解説】
「鴨が鳴く」とあるので、「声」がしている、聴覚推定「なり(~ようだ)」
「鳴くなり」「ころも打つなり」の「なり」は聴覚推定にキマリ!
和歌で多用される、慣用的な表現です。中世歌論なんかが出題されたとき、要注意、早稲田大学ですね。
・口語訳…吉野にある夏実川の河のよどみで、鴨が鳴くようだ、山の陰で。
ホラ、「目では見ていない」「声が聞こえている」でしょ?

3.(3点)
次の〈 〉内の口語訳として正しいものは?
・「上こそ。この寺にありし源氏の君こそ〈おはしたなれ〉」
イ、いらっしゃったそうだ。
ロ、いらっしゃっただろう。
ハ、いらっしゃったにちがいない。
ニ、いらっしゃったのだ。
(   )
【解答】
( イ )
【解説】
「おはしたるなれ」、完了「たり」はラ変型活用語、下に伝聞推定「なり」をともなって、連体形「たる」撥音便をおこして無表記になったもの。
紫の上の少女時代、あこがれの光源氏が来訪したと聞きつけて、すっ飛んできた、という文脈。「なり」は伝聞です。
「撥音便+なり」は伝聞推定に決定、文法問題、解釈問題、など、とにかく頻出。
単純な文法問題はチトださい。配点も低い。
長い傍線部、口語訳、「なり」の識別すれば、選択肢は「1/5」→「1/2」というネタになるかな。むしろ、「撥音便+なり」ネタは、解釈問題にからみます。上記はその練習でした。
もう少しシャレオツな問題になると、「和歌の解釈」、「和歌の解説」で問題になり、推定の根拠である「視覚」「聴覚」、その状況説明をつっこむでしょう。

・聴覚推定「なり」…対象を目では見ていないが、声(音)を聞き、それを根拠に「~ようだ」と思っている。

・視覚推定「めり」…対象を目で見て、それを根拠に「~ようだ」と思っている。 

みたいな背景、状況説明問題です。だから、「なり」「めり」「らむ」は、その「機能」を把握していないと、早稲田とか、センター和歌問題とか、対応できないじゃない?
あ、上智大学の平安作っている先生がダイスキなところだよ。和歌の説明の「a/b問題」で、六つ、七つある選択肢の一つに入れてやると、いかにも上智っぽいね。
ひっかけの選択肢は「らむ」とかの背景説明をしている、丸暗記の受験生はイッパツ、ひっかけられる、って算段ですね。

4.(3点)
次の〈 〉内の説明として正しいものは?
・「われのみかく思ふ〈に〉や」
イ、接続助詞
ロ、格助詞
ハ、完了の助動詞
ニ、断定の助動詞
(   )
【解答】
( ニ )
【解説】
・「体言+にや(か)あらむ」=断定の疑問、(~であろうか)
「あらむ」省略して、「に」ってナンダ?
と、お約束の「に」の識別問題でした。

5.(3点)
次の〈 〉内の説明として正しいものは?
・体育館〈に〉て全校集会を行ふ。
イ、接続助詞の一部
ロ、格助詞の一部
ハ、完了の助動詞
ニ、断定の助動詞
(   )
【解答】
( ロ )
【解説】
で、「に」の識別で受験生を悩ませるのが格助詞「に」「にて」でしょ?
格助詞の識別なんかカンタン!
体言+「に」「にて」→動詞
と、動詞にかかっていくのがポイント。
「体育館にて→行ふ」
でしょ?

6.(完全解答 3点)
次の〈 〉内を口語訳せよ。
・出世〈すまじくは〉、転職すべし。
(          )
【解答】
(することができないならば)
【解説】
・未然形+ば=仮定条件(~ならば、)
は、受験生なら常識。
でも、そこでオシマイにしていないかな?

・形容詞、形容詞型活用助動詞の連用形「~く」+係助詞「は」、
・打消し助動詞「ず」の連用形「ず」+係助詞「は」、

も仮定条件です。受験生の盲点、実戦では的確にそこをついてきます。
なぜ、「仮定条件」をうるさく言うかというと、
単独で解釈問題にもなるけれど、仮定条件は他の重要な構文に決定的にかかわるからです。

・仮定条件~まし=反実仮想(~したなら、~しただろうに)
・~だに~仮定条件、~=最小限の条件(せめて~だけでも~ならば、~)

と。
さらに「実戦」のハナシ、しましょうか?
早稲田大学、上智大学、センター古文、「和歌」中心の文脈出す、
「反実仮想」は詠嘆的な表現だから、和歌で多用される、
よって、仮定条件をしっかり訳せないと、反実仮想が取れない、和歌の解釈、解説の問題、すなわち高配点落とす、ということなんだな。
・形容詞型活用助動詞「まじ」連用形「まじく」+係助詞「は」
・「まじ」は可能推量「~できるだろう」
形容詞型活用助動詞「べし」「まじ」「まほし」「たし」は、形容詞あつかい、って感じです。

7.(3点)
次の〈 〉内に補うのに最も適当な語は?時代は平安とする。
・娘を亡くし、父が泣いている。そのあはれな姿を見て「われ〈 〉涙の浮く」
イ、だに
ロ、さへ
ハ、すら
ニ、のみ
(   )
【解答】
( ロ )
【解説】
・「だに」…類推(~でさえ)・最小限の条件(せめて~だけでも)
・「さへ」…添加(~までも)
・「すら」…類推(~でさえ)※漢文の「抑揚形」で用いられる。
・「のみ」…限定(~だけ)
と、これら副助詞は、意味を丸暗記しても、ホント、しょーもないよ。「機能」をおさえるべし。
「Aが~、そればかりでなく、その上さらにBまでもが~」
上記の文脈、「父が泣く、その上さらに、それを見ている私までもが泣けてくる」
でしょ?添加の文脈なの、わかりますか。
これら、文脈のドラマの頂点で多用される表現。高配点の問題に決定的にかかわりますよ。

8.(3点)
次の〈 〉内に補うのに適当な語は?
われだに受かる、〈 〉君の受からざらん事やは。
イ、かつ
ロ、なほ
ハ、さらに
ニ、まして
【解答】
( ニ )
【解説】
・漢文の抑揚形
<程度の軽いもの>スラ、且(か)ツ・猶尚(な)ホ~、況(いはん)ヤ<程度の重いもの>ヲヤ。
・古文の類推構文
<程度の軽いもの>だに~、まして<程度の重いもの>。
訳…<程度の軽いもの>でさえ~まして<程度の重いもの>はなおさらだ。
と、
漢文の抑揚=古文の類推
と、セットにしておさえるのがポイント。
ちなみに、「漢文の累加形(ただに~のみならず)」と「古文の添加構文(さへ)」もセットでおさえるとよいですね。
センター試験受けるならね。

・口語訳…この私でも合格したのだから、まして、君が合格しないことなどあろうか、いや、あるはずがない。

で、類推構文の副詞「まして」の虫食いでした。
「すら」「かつ」も抑揚(類推)で用いられる副詞なのですが、使われる位置がちがうでしょ?<程度の軽いもの>にくっついて「やはり」なんて訳す副詞です。
ひるがえって、「すら」「かつ」でひっかかった人、口語訳丸暗記してるでしょ?
つまり、「機能」をおさえていない。本番でも、きっちりひっかけられますよ。

9.(完全解答 3点)
次の文の後に続く省略内容は?
例 いづれの人と名をだに知らず。
(          )
【解答】
(まして人柄・性格を知らないのはなおさらだ。)
【解説】
「<軽>だに~、まして<重>~。」の類推構文、
程度が重いものなんか言わなくても、自然に「類推」できるでしょ、ということで「まして~」以下が省略されます。
で、その省略内容が問われます。配点、高いよ!

・ある人物について、「知る」「知らず」という点で、「名」は程度が軽い、それでは、人物を「知る」「知らず」という点で程度が重いものは何だろう?
程度が重いもの…人柄、性格、人格

と類推していく。
「だに」直後の内容が比較する内容です。前に<程度の軽いもの>があり、後に<程度の重いもの>がきます。

・<比較対象=軽>だに<比較内容>
   まして<比較対象=重>…省略

とすれば、わかりやすいかな?
「まして」の虫食い、「だに」の虫食い、も出ますが、
なんといっても、「まして~」以下の省略内容、30字程度の記述で出されたら、配点高い、なおかつ、ガッツリ点差ひらきます。合否を分ける問題になっていきますよ。
東京大学など、国立二次記述ですね。

10.(完全解答 3点)
次の〈 〉内を口語訳せよ。
散りぬとも〈香をだに残せ梅の花〉
(          )
【解答】
(せめて香りだけでも残せ。梅の花よ。)
【解説】
・「だに」の最小限の条件
 ~だに~意志・希望。(せめて~だけでも~しよう・したい)
 ~だに~仮定条件、~。(せめて~だけでも~ならば、)
 ~だに~命令。(せめて~だけでも~しろ)
と、カタチが決まっているから、「意志・希望・仮定条件・命令」をともなう、でオシマイ。
記述で口語訳というところ。

---------------------------------------------------------------------★
【添削担当者(谷村)からのアドバイス】

おつかれさまでした。
いくつできましたか?
部分点なしの完全解答でキビシク採点してくださいね。

★★★★★30点満点
高配点系の問題、しっかり点数にしています。
難関私大、国立二次、いけますぜ!

★★★★27点
惜しい!
けど、やはり、できますね。
重要構文、もう一回たどりなおして、オシマイ。

★★★24点
あきらかに「穴」あり。
今回のところは、どれもこれも頻出、しっかり復習してください。

★★21点
古文はそこそこやった、でも「実戦」というのがわかっていないかな?
古文で時間かけると、現代文の足もひっぱるよ!現代文で点数かせぎたいなら、古文漢文時間かけずにゲット、のパターンにもっていくこと。

★18点
古文が「時間かかって、点落とす」だから、現代文「時間がないから、点かせげない」。
「古文の基礎」を大急ぎでおさらいしてみてください。

無星15点以下
高1・2生なら、「学校文法」卒業して、「実戦文法」にシフトすべし。
受験生なら、覚悟決めて、時間決めて、「古文の基礎」「古文のツボ」やってください。
優先順位がパッとみてわかるように「★」をつけてあります。
★マークの多い順に、パカパカ、片づけて。
この時期、単語や文法などは「勉強」とは言わない、「息抜き」です。
「勉強」は「読解」ね。
過去問やって、模試の復習やって。

---------------------------------------------------------------------★
【次回の試験範囲】

参考書
「古文の基礎」「古文のツボ」 http://wsfp.blog71.fc2.com/blog-category-22.html

次回の範囲は「古文の基礎 其の七十一~其の八十」です。

---------------------------------------------------------------------★
【あとがき】
今回の助動詞「なり」「めり」とか、
副助詞「だに」「すら」「さへ」とか、
どれもこれもオイシイねたです。
ここらあたりを「時間かけずに点かせぐ」のか、
「時間かけて点落とす」のか、
ここらあたりが合否を分けていきます。
実は「偏差値」なんていうのは、その結果でしかなく、
「内容」をみると、合否を分ける「点」というの存在します。

コップに水入れて、コインを一枚、一枚入れていく。
一枚入れる、あふれない…
一枚入れる、あふれない…
一枚入れる、コップからどっと水が溢れ出す。
いかにその「ピーク」を越えていくかなんですね。

今回がその「一枚」になるかも、しれない♪

添削担当者(谷村)
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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