![]() 【入試直前 和歌小テスト 解答解説】
〈和歌ってわかるん♪〉 問四 次の和歌の修辞を説明せよ。 1.霞立ち木の芽もはるの雪降れば 花なき里も花ぞ散りける (古今集) 【解答】 掛詞…「春」と「張る」とが掛詞。 序詞…「霞立ち木の芽も」が「張る」の序詞。 【解説】 上の文脈から文節を分けると、「霞/立ち/木の芽も/張る(ふくらむ)」と文節を分けたい。下の文脈にしたがえば「春の/雪/降れば」と、二重の文節関係から「春・張る」の掛詞。 もう一つ。「霞立ち木の芽も」という前フリがあって初めて「張る(ふくらむ)」が出てくる。春霞も立って、春になると、木の芽もプックリふくらんで、ということで「張る」が出てくる。つまり、この前フリがないと、ただの「春の雪」、掛詞にはならない。よって、 「霞立ち木の芽も」というのは、掛詞のかたわれ「張る」をひっぱり出す働きをしている「序詞」と考えるべき。 で、 「春・張る」の掛詞は、 ・二重文節関係を用いた掛詞。 ・序詞を用いた掛詞。 と、二重に掛けるテクニックを使っています。 序詞はいちばん、メンドクサイところだよ。 ↓ ↓ ↓ 大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の三 口語訳… 春霞も立って木の芽もふくらむ春の雪が降ると、桜がない里でも雪の花が散るようだよ。 2.袖ひちてむすびし水のこほれるを 春立つけふの風やとくらむ (古今集) 【解答】 掛詞…「結ぶ」と「掬(むす)ぶ」とが掛詞。 「張る」と「春」とが掛詞。 「裁つ」と「立つ」とが掛詞。 縁語…「袖」「結び」「張る」「裁つ」「解く」が「衣」つながりの縁語。 【解説】 「袖(そで)」、ひもや帯を「結ぶ」、衣のシワ取り「張る」、布を「裁つ」、裁断して衣を作り、結んだひもや帯は「解く」、と、すべて「衣」につながる、縁続きの詞。ただ、当時の生活状況の中でイメージが連鎖するのであって、今日の我々の生活からは、なかなかイメージしがたい。だから、和歌の修辞は「場数」ふまねば、なんだね。一回、二回やって、ハイわかりました、ってものではない。そのなかでも、コレは「古今集」を選んだ当人、紀貫之の「いかにも古今チック」なゴテゴテにお飾りつけた和歌でした。わからないのは当然、でも「縁語で掛詞」ってテクニックを説明するのにちょうどいい和歌なんだな。 ↓ ↓ ↓ 大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の四 「袖」…「結ぶ」…「張る」…「裁つ」…「解く」…「衣つながり」の縁語 「掬ぶ」 「春」 「立つ」 ←縁語を用いた掛詞 口語訳… 夏のころには袖をぬらしながら両手ですくっていた水が、冬になって凍っていたのを、春が立つ(立春の)今日の風が解かしているだろうか。 ※「ひつ」…ぬれる ※「掬ぶ」…両手ですくう 問五 次の和歌の〈 〉内を口語訳せよ。和歌中で用いられている掛詞を漢字を用いて説明せよ。 〈雪深み〉み山の道は晴れずとも なほふみ通へ跡絶えずして (源氏物語) 【解答】 口語訳〈雪が深いので 〉 掛詞( 「踏み」 と 「文」 ) 【解説】 「名詞+を+形容詞語幹+み=原因理由を表す構文」 ↓ ↓ ↓ 大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の十五 和歌でのみ使われる重要構文、上記は「雪を深み」の「を」が省略された形。ク活用形容詞「深し」語幹「ふか」、と、ク活用の語幹に注意してください。課題文中の和歌、この表現があったら、必ず問題にします。問題にしない出題者はいません。 物語の文脈があればもう少し「文・踏み」掛詞もわかりやすいでしょうが、和歌単独でもなんとなくはわかる。「雪が深いので、深山(みやま)=山奥の道は雪の晴れ間ない、それども…」という文脈だから、「雪を踏み分けて通ってきてほしい、それが無理なら、せめて文を通わせてくださいよ…」と、文脈から掛詞、というテクニック。また、和歌の修辞は場数だって言いましたが、「まだふみも見ず天橋立」とか、学校でやっていると思うのですが、そのような、以前にやった演習がものをいうことになりますね。 口語訳… 明石の君が姫君と別れる、その姫君を託した乳母に詠んだ歌。 雪が深いので私の住む山奥への道は雪が晴れることなくても、それでもやはり雪を踏み分けて通ってきてください、足跡が絶えることのないように…それが無理ならせめて文を通わせてくださいね、途絶えないように。 問六 次にあげる和歌の掛詞を漢字を用いて説明せよ。 1.(男の来訪が途絶えて、恨みがましい気持ちを詠んだ女の歌) 人心あきのしるしの悲しきに かれ行くほどのけしきなりけり (堤中納言物語) 【解答】 ( 「秋」 と 「飽き」 ) ( 「枯れ」 と 「離れ」 ) 【解説】 「男女の別れ」の文脈をうけて「秋/飽き」「枯れ/離れ」の掛詞。超頻出。「飽き」「離る」それぞれきちんと漢字で書けるようにしておきましょう。 口語訳… 季節は秋、あの方の心も私に飽きてしまったような前兆が悲しく思われるが、草木が枯れるように、あの方も私から離れていく様子だなあ…。 2.(中国に旅立ついとしい息子を詠んだ母親の歌) よどみなく涙の川は流るれど おもひぞ胸を焼くと焦がるる (成尋阿闍梨母集) 【解答】 ( 「思ひ」の「ひ」 と 「火」 ) 【解説】 「火」と「焼く」「焦がるる」が「火つながり」の縁語。 縁語により「思ひ」の「ひ」に「火」を掛ける。縁語を用いた掛詞。 上記、「袖ひちて」の和歌でみて、「縁語」って、必ず「掛詞」がからむ修辞だって、大丈夫でしょうか。 「縁語になってるから、縁語のどれか、掛けてるだろう…」という判断ですね。 和歌の修辞が問われ、「説明として正しいもの」「まちがっているもの」と、選択肢五つに和歌の修辞ズラ~ッと並べられると、受験生パニックでしょ? イ、掛詞の説明 ロ、序詞の説明 ハ、枕詞の説明 ニ、縁語の説明 ホ、比喩の説明 とか、並べられたときですよ。上智なら「a/b問題」ですか。そのとき、けっこう「縁語なら掛けてる」っていう判断、もの言うモンですよ。 口語訳… 淀むことなく涙の川は流れるけれど、息子を思う「火」のような母の思いは胸を焼くばかりで、息子を思い焦がれることだよ。 問七 次の和歌で用いられている序詞を正確に抜き出せ。 住の江の岸による波夜さへや夢のかよひ路人めよくらむ (古今集) 【解答】 序詞…「住の江の岸による波」 【解説】 「寄る波」の「よる」と同じ音の関係で、「住の江の岸によるなみ」が「夜」の前フリ、前置き。「同音関係から導き出す序詞」というもの。 口語訳… 人目につく昼ならともかく、人目につかない夜まで、あなたは夢の通い路で一目をよけているのだろうか。(だから夢にも現われてくれないのね…) 「枕詞」は覚えればオシマイ、だからラクチン。 「序詞」は自分で判断しなければならない、だからムズカシイ。 キホン、和歌の「感動の中心」、どんな気持、情景を詠んだものなのか考えてみましょう。感動の中心と関係ない、ある語句の前フリをしていたら「序詞」と考えるとよいです。 上記の和歌、「夢の通い路でも人目を気にするなんて、おバカさんね…」という女心を詠んだもの、「住之江」とか「波」とかに感動して詠んだ歌ではないこと、わかりますか? 以上、「和歌の修辞」をザックリとテスト。 センター試験直前に、ぜし、確認しておきたい。 また、センター試験、立教や上智、たまに近世、江戸期の散文出しますが、実は、「和歌の修辞」って、近世散文(江戸時代の普通の文章)でこそ、その威力を発揮したりして。ココで「和歌修辞」きっちりやっておけば、ほぼまちがいなく、「和歌」は出題されるし、ラッキー!たとえ「修辞」そのものが問われなくても、精神的にラクになります。万が一、近世江戸期でも出されたら、おそらく「時間かけずに点かせぐ」、イモヅル式で点数かせげますぜ! ご参考になりましたら、応援ポチッとよろしくお願いします!!
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〈和歌ってわかるん♪〉 問一 次の和歌について、どのような現実が読み取れるか、簡潔に説明せよ。 1.わが背子(せこ)と二人見ませばいくばくか この降る雪のうれしからまし (万葉集) 【解答】 私の夫と二人で見ることができない(一人ぼっちで見ている)ので、この降る雪がうれしくもなんともない。 2.思ひつつ寝(ぬ)ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを (古今集) 【解答】 恋人を思いながら寝たので、恋しいあの人が夢に現われたのだろうか。 これが夢とわかっていたならば、覚めなかっただろうになあ。 3 形見(かたみ)こそ今は敵(あた)なれ これなくは忘るるときもあらましものを (古今集) 【解答】 恋人が残した思い出の品も、今となってはかたき(恨みのたね)だ。 この思い出の品があるので、恋人をわすれることができない。 【解説】 「反実仮想」から「現実」を出す練習。 ↓ ↓ ↓ 大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の五十二 「実戦」レベルの反実仮想の問題です。「反実仮想」は詠嘆的表現、だから、上掲のように「和歌」で多用される。 歌物語、日記、歌論、いずれ、文脈のピーク、ドラマの頂点、感動の頂点で「和歌」って詠まれますから、どうしても「要約系」の配点高い問題にからんできます。 「反実仮想」の直訳なんて、実際の入試で出るわけがない。 「本文の内容説明」「和歌の大意、和歌の贈答のあらまし」といった、「説明問題」になるはず。 だから、「反実仮想」は必ず「現実」を出すクセをつけておく。 傍線も何も引いていない、和歌をテキトーに読み流して、最後の要約系の問題で、和歌の背景説明とか、選択肢にあったら、「もう一回」本文、たどりなおすのか?ということを聞いております。 「男女の思いどおりにならない仲」で「和歌」を詠む、「反実仮想」で詠嘆、嘆き… ホラ、「反実仮想」をひっくり返せば、二人がどのような恋をしてきたのか、しているのか、「現実のドラマ」が浮かび上がってくるでしょ?これが高配点の問題になる、ってわかるかな? 問二 次の和歌を口語訳せよ。 1.秋の野に人まつ虫の声すなり われかとゆきていざとぶらはむ (古今集) 【解答】 秋の野で人を「待つ」という松虫の声がするようだ。 私を呼んでいるのか、と、行って、さあ、訪ねてみよう。 【解説】 「なり」の識別 ↓ ↓ ↓ 大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の六十一 文脈に「音」「声」があったら、「聴覚推定(~ようだ)」。「目では見ていないけれど、音、声を聞き、聴覚を根拠に推定している」と、その背景、状況をおさえられるようだといいですね。 上の文脈にしたがえば「人/待つ」と文節を分けたい、下の文脈にしたがえば「松虫の/声」と文節を分けたい、「二重文節を用いた掛詞」の代表選手のような掛詞です。 ↓ ↓ ↓ 大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の一 2.降る雪はかつぞ消ぬらし あしひきの山のたぎつ瀬音まさるなり (古今集) ※たぎつ瀬…急流 【解答】 降る雪はすぐに消えてしまうらしい。 山の急流の音がいっそう大きくなるようだから。 【解説】 「あしひきの」は「山」にかかる枕詞、ただのお飾りだから、訳さない。 「まさる」は四段活用、終止形、連体形が同形、 終止形+なり=伝聞・推定 連体形+なり=断定 と、接続から判断できない、けれども「音」とあるから「推定(~ようだ)」にキマリ。やはり、和歌が詠まれている状況、背景をしっかりイメージして。 「家の中にいて川は見えないけれど、ザーザー、急流の音が大きくなっているようだ。ということは、山の方では、降る雪が、降るそばから消えて水になっているらしい」 と、和歌は「五七五七七」、圧倒的に情報量が少ない、だから、その背景を読ませようとするのが難関大学の古文じゃないですか?その時、推定「なり」「めり」というのは、視覚、聴覚、その状況が読み取れるのです。いろいろな意味でオイシイ助動詞なのです。 問三 次の和歌の( )内に適当な枕詞を補え。 1.家にあれば笥(け)に盛る飯(いひ)を ( )旅にしあれば椎の葉に盛る (万葉集) 【解答】 草枕 2.( )光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ (古今集) 【解答】 久方の 3.( )山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜を一人かも寝む (万葉集) 【解答】 あしひきの 4.( )わが黒髪やかはるらむ 鏡の影に降れる白雪 (古今集) 【解答】 ぬばたまの 5.( )神代も聞かず 竜田川からくれなゐに水くくるとは (古今集) 【解答】 ちはやぶる 【解説】 「枕詞」は、たくさんありますが、受験レベルでは20っこぐらい、覚えちゃえばおしまい、よってラクチン。 ↓ ↓ ↓ 大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の二 ある語句の「前ふり」をする、ということでは「序詞」も「枕詞」も機能は同じ、さて、両者の違いを明確に言えるかな?あやふやにしておくと、「和歌の修辞系」の問題でイッパツ、ひっかけられますよ。 あるいは、「たらちねの( )」のように、反対に虫食いにしてもよいでしょうね。 ご参考になりましたら、応援ポチッとよろしくお願いします!!
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