「用言の活用」 〈動詞・形容詞・形容動詞の復習〉
では、前回の練習問題の解説と解答をしていきます。それぞれ、完全解答とします。×が三つまでならクリア、四つ以上ある人は「用言の活用」をもう一度おさらいしてから次に進んでください。
【練習問題2 解答と解説】
問一 次の動詞の活用をひらがな、歴史的仮名づかいで書きなさい。
植う( うゑ ・ うゑ ・ うう ・ ううる ・ ううれ ・ うゑよ )
恨む( うらみ ・ うらみ ・ うらむ ・ うらむる ・ うらむれ ・ うらみよ )
率る( ゐ ・ ゐ ・ ゐる ・ ゐる ・ ゐれ ・ ゐよ )
※それぞれ「○ず」「○たり」「終止。」「○とき」「○ども」「命令!」につなげてみるのでしたね。できましたか?
問二 次の動詞の活用の種類をいいなさい。
はべり ( ラ行変格活用 )※他に「さり」「かかり」などもラ変でしたね。
来 ( カ行変格活用 )※他に「まゐりく」「まうでく」などもカ変。
御覧ず ( サ行変格活用 )※同様に、「す」をくっつけてサ変化する動詞は多数。
経(ふ) ( ハ行下二段活用 )※「寝(ぬ)」など、語幹語尾の区別が無い動詞はかな書きになったとき難!
往ぬ ( ナ行変化球活用 )
※「活用の種類」と指示されたら、「行」を必ず書くように!
問三 次の形容詞を適当に活用させなさい。
花の散るも(をかし→ をかしかり )けり。
※助動詞「けり」は連用形接続。形容詞は下に助動詞がくる場合、補助活用でしたね。
花の散るも(をかし→ をかしき )ことと思ひけり。
※「こと」と体言に接続して本活用連体形。
問四 次の傍線部を口語訳しなさい。
花ををかしみひとり酒飲む (桜〈梅・花〉がおもむき深い〈すばらしい・風情がある〉ので )
※「名詞 + を + 形容詞語幹 + み」は和歌でのみ用いられる原因理由の構文。形容詞の語幹にしかありません。和歌で訳をきかれて「み」とあったら、まっ先に疑ってみなくてはなりません。
あな、疾(と)。 ( ああ、早いことだなあ なんと早いことだ )
※「あな(感動詞) + 形容詞・形容動詞の語幹」は感動詠嘆の構文。ク活用形容詞「疾(と)し=早い」の語幹「と」。ク活用の形容詞語幹、かなで書かれると本当に見つけづらいので注意が必要です。上記「をかし」のように、シク活用形容詞は終止形と語幹が同じなので見つけるのはラクチン。
をさなの人や。 ( 子供っぽい人 幼い人 )
※「形容詞・形容動詞の語幹 + の + 名詞」は連体修飾の構文。何のことはない、連体形と同じです。上記なら「をさなき人」と同じ。むしろ、「の」を訳すとアヤシゲな日本語になってしまいます。
問五 次の文中から音便をおこしている語を抜き出し、もとの形を書きなさい。
なさけなき人にぞあめる。 音便をおこしている語( あ )もとの形( ある )
※「ラ変・ラ変型活用語の連体形」が推定「なり」「めり」をともなって撥音便をおこす場合があります。今の段階では撥音「ん」をおぎなって読めればよし。やがては古典文法の大きな山場になっていきます。古典文法を身につけるか、いつまでたっても「わからんわからん」か、その分かれ目ですよ。今から覚悟しておきましょう。問題にもからむし、そもそも撥音便無表記を読めないと古文の読解そのものが成り立ちません。
あはれに思ひたまうて銭あたふ。 ( たまう ) ( たまひ )
※ハ行四段連用形のウ音便は、さほど設問にからむわけではありませんが、読めないとやはり、古文読解そのものが成り立ちません。