大学入試の国語・小論文
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大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の五
「接続関係」 〈逆接 3〉

逆接を用いた立論の練習をしてみましょうか。

 

 「コペルニクス的転回」以来、「天動説」は「地動説」にとってかわられた。科学があたかもバイブルであるかのようにふるまっている現代社会において、「地動説」は自明なものとなっている。

 しかし、…

 

と、逆接してみましょう。どうです?「地動説」をひっくり返せますか?

当然のことながら、科学的な証明によって「地動説」をくつがえすことなどは不可能です。しかし、論理(ロジック)の上でなら可能です。やってみましょうか。

 

しかし、我々は日常生活で「太陽が昇る」と言い、「太陽が沈む」と言っている。ここで運動しているのは太陽であって、地球ではない。いくら「地動説」をあたりまえのことと知っていても、「地球が回って太陽が現れた」とは表現しない。ということは、我々の意識(無意識)のレベルでは、いまだに「天動説」が優位を占めているのではないか。科学が万能の現代社会においても、我々の意識は何万年と変わることのない「天動説」を生きているのである。

 

そんなの「詭弁(きべん)だ!」というご批判はごもっとも、詭弁です。「科学的妥当性」の問題を「言語(表現)」の問題にすりかえています。

ただし、読者がもし「フムフム」と思って読むなら、それも立派な「論」なのです。ホームページでも展開していますが、「論述力」とは「人をうなずかせる力」なのです。うなずかせてしまえば「勝ち」ということ。

さすがに「地動説」にツッコミを入れるのは難しいでしょうが、私たちの日常生活はツッコミどころにあふれています。テレビのニュースを見て、学校の先生の話を聞いて、「だが、」「しかし、」どんどん逆接していきましょう。その延長に「読解力」や「論述力」があります。

考えてみたって、「あ、そう」「ふ~ん」と日常生活、与えられたものを無批判に受け入れて過ごしている人が、どうして現代文においてだけは、逆接の先の文脈を類推できるのでしょう?論述においてだけは、逆接して自論を展開できるのでしょう?普段からが論理的思考を鍛える訓練なのです。どんどん逆接して批判精神を鍛えるべし!

ただ、「でもね」「けどね」なんて、いちいち口に出して言うと間違いなく友人を減らしてしまいます。あくまで「思考」のレベルでとどめておきましょう。

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【2007/07/30 18:12】 | 現代文・小論文の基礎 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の四
「接続関係」 〈逆接 2〉

さて、それでは実践。

前回、意見文において「逆接」は最重要、と述べました。その理由は、逆接した後に筆者の意見、主張がくることが多いからです。もう一つ。「逆接」すると、その先の文脈を容易に類推できるからです。ホームページで、「読解力とは、『文脈類推能力』と『要約力』だ」と展開していますが、「逆接」はその「文脈類推」におおきくかかわってきます。前後が対立するのだから、




Aである。しかし(逆接)  X  




とあったら、Xの内容は容易に類推できますね。




X=Aではない。




という内容が展開するはずです。実際にやってみましょうか。今日の『毎日新聞』のコラムを引用させていただきました。





 セミの声を聞いてもファーブルともなれば日本人の思いもつかぬことを考える。セミがさかんに鳴いているところで大砲を撃てば、どうなるのか?いや、考えたばかりでなくわざわざ役場の大砲を砲手とともに借りてきて、実際に撃ったのだからすごい。

 2度の発砲の結果、セミは何事もなかったかのように鳴き続けたと昆虫記は書いている。ファーブルは、セミは耳が遠いから大声で泣くのだと結論づけた。だが実はセミにも音は聞こえるが、聞き分けられる音の範囲が人とちがうことが後にわかった。

 さて日本人がミンミンゼミやアブラゼミなど夏ゼミの声を聞き始めれば梅雨明けだ。きのうは近畿地方の梅雨明けが伝えられ、関東地方でも真夏の陽気となった。皇居の周辺でも大砲ならぬ自動車の騒音をかいくぐってミンミンゼミの声が響き渡った。

 もっとも東日本はすぐまたぐずついた天気にもどり、梅雨明けはしばらく先になるという。何年もの地下生活を生き抜いてようやく地上に出たセミたちには気の毒な天気だが、本格的な夏の暑さが待ち遠しいのは夏休みに入った子供たちも同様だろう。


 だが(逆接)…       


 セミの中でもニイニイゼミやヒグラシは梅雨のうちから鳴き始めるが、あまりピンとこない。耳に入りながら周りの状況次第で気にならぬ音は人にもあるようだ。短い生を激しく鳴いて果てるセミの音は炎暑の盛夏にこそ心にしみるが、今年は少しその勢いが気がかりだ。

(『毎日新聞』平成19年7月25日のコラムより)


 

 空欄Xの内容はだいたい類推できるでしょう?本文は、





 だが先日発表された1カ月予報によると、ほぼ全国的に気温が「平年並みか低い」という今年の夏だ。先月の3カ月予報ではラニーニャ現象のせいで猛暑が予想されていたのだが、実際は太平洋高気圧の勢いが弱く、一転して冷夏の方が心配になった。ままならないのは空模様である。





でした。逆接をはさんで、

「夏の暑さが待ち遠しい←だが(逆接)→一転して冷夏の方が心配になった」

と、「暑←→冷」のきれいな対立関係になっています。

実際に現代文を読解する際にも、ただ与えられた文脈の後追いをするのではなく、このように先々の内容を類推しながら読んでいけば、早く、正確な読解ができるようになりますよ。

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【2007/07/25 16:02】 | 現代文・小論文の基礎 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の三
「接続関係」 〈逆接〉

「論」の中核をなすのが、この「逆接関係」です。

「意見文」とは、あたりまえとされていること、自明性に「ツッコミ」を入れていく作業だ、と以前述べました。

漫才で、ボケをかますと、相方は「なに言うとんねん!」、で、肩をポンと…、客がウケル。「逆接」とは、まさしくそのツッコミ、「肩をポン」なんですね。漫才だって「論(すじみち)」をともなって、面白いことを「述」べる作業、「論述」しているわけです。ツッコミがないことには始まらないでしょ?

現代文においては、いかに「逆接」を正確に読み取っていくか、小論文においては、いかに「逆接」して自分の意見を展開していけるか、ここが勝負どころとなります。

 

A(批判対象)


逆接「しかし」「だが」「けれども」「~ものの」「~のに」「~が」


B(自分の意見)

 

論述するなら、Aで批判対象をしっかり分析し、Bで自分の意見を明確に打ち出すことが大切です。現代文の読解なら、「逆接」後の筆者の意見をいかに的確に読み取るかが大切です。

いずれ、「逆接」というのは、B(逆接した後)の内容を強める、一種の強調表現です。だから、現代文読解の際に、段落アタマの逆接には注意しなければなりません。筆者の主張がきていることが多いからです。

また、AとBはだいたい対立関係になります。


1.A「客観的」←逆接→ B「    」

2.A「特殊」 ← 〃 → B「    」

3.A「多義的」← 〃  → B「    」

4.A「混沌」 ← 〃 → B「    」


さて、空欄には何が入るでしょう?って、よく虫食い問題になるところです。どれも評論頻出語ですよ。答は、

1.「主観」、2.「普遍」、3.「一義的」、4.「秩序」、下にいくほど難しい。1.2.は受験生なら「常識!」と言ってほしいところです。3.4.ぐらいになると早稲田レベルの評論です。実際、よく出題されているところです。

このように、逆接をはさんで虫食い問題にしてもいいし、対義語をはさんで「逆接」を虫食い問題にしてもいいですね。国立大学の記述などだったら、逆接前後を記述問題にしたいところです。

「逆接関係」をもった重要語を見ておきましょうか。

 

矛盾

…つじつまが合わないこと。あいいれないこと。

皮肉(アイロニー)

…予想に反した結果になること。

逆説(パラドクス)

…あいいれない関係でありながら、それが一つの現実となっていること。

 

「矛盾」と「逆説」が似ていますが、前者はただ「あいいれない」という関係性を言っているのに対し、後者は「矛盾しながらも、一つの現実になっている」と、その現実の方に重点が置かれています。

いずれ、どれも説明問題で頻出する語です。特にも、本文中に「逆説(パラドクス)」とあったら、ほぼ間違いなく設問になります。虫食い問題の選択肢の中に「逆説」とあったら、かなり正解クサイですね。記述で問われた場合、書き方は「A、しかしB」と逆接でまとめるか(ヤヤコシイ)、一方ではA、他方でB」と一方、他方でまとめるか、「カタ」に注意してコンパクトにまとめましょう。

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【2007/07/23 18:05】 | 現代文・小論文の基礎 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の二
「『論』とはナンダ?」

「古文の基礎」は上がりましたか?

古文の「文法」「単語」「敬語」三点セットが身についたら、あとはガンガン古文を読解すべし。まだの人は、「古文の基礎」を大急ぎでたどってください。単語でみて、文法でみて、身につけるポイントは、「出るヤツは徹底的に!どうでもいいヤツは後まわし」です。そのために★マークをつけてきたのです。そして、「完璧」にやろうとしないこと。そんなことをいっていたらキリがありません。「こんな感じ」とわかったら、ガンガン読解して、文脈の中で重要事項を身につけていきましょう。

さて、もう梅雨もあけます。古文(漢文)も現代文も、夏から「量」の勝負に入っていきます。暑くなるにつれて、体もノーミソもガンガンに汗をかいて読解量、演習量をかせいでいきます。そして、秋の模試には「フン♪フン♪」鼻歌うたってクールに点数をかせぐ、といったイメージです。

 

さあ、『現代文・小論文の基礎』に本格的に入っていきます。

「論文」の「論」とは「すじみち」の意味です。現代文であれ、小論文であれ、自分の意見をそのまま並べたら、ただの箇条書きになってしまいます。

読んでみればわかると思いますが、ただの箇条書きでは説得力がない。そこで、人を説得するために「流れ」を作ってやる必要がある、それが「論(すじみち)」なのです。

通りですれちがう人に「あなたが好きだ!」と言ったら、それはただのアブナイ人です。でも、それなりの「すじみち(論)」を経て、それなりの状況(文脈)で言ったら、とてもスヰートに響く言葉になるでしょう?いくら「いいたいこと(意見)」があるといっても、それを他者に伝えるためには、それなりの「すじみち(論)」が必要なのです。

 

(評)論文とは「論(すじみち)」をともなった「文」である

 

また、「箇条書き」はただの断片、全体として何を言おうとしているのかわかりません。そこで、「全体」を形づくるために、「断片」をつなぎ合わせる「接着剤」が必要になってきます。それが、文字どおり「接続」なのです。「論」は「接続関係」によって生まれます。

 

論(すじみち)」を作る基礎は「接続」にあり

 

早稲田の現代文などでもよく虫食い問題になりますね。また、小論文において、多くの受験生が破綻(はたん)をきたすのも、この「接続関係」です。これがわかっていないことには、現代文の正確な読解は不可能、当然、小論文など書けるはずがありません。

というわけで、次回から主な接続関係をたどってみましょう。

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【2007/07/22 15:40】 | 現代文・小論文の基礎 | トラックバック(0) | コメント(0)
しり上がり通信 其の四

浅間神社 本神輿 富士塚から浅間神社をのぞむ



<浅間(せんげん)さんを担ぐ>

さる六月三十日、浅間(せんげん)神社のお祭りがあり、亀戸九丁目に鎮座まします、浅間神社の御神輿を担がせていただきました。

浅間神社は古くから富士山を信仰する神社、江戸の各地に「富士塚」という富士山のミニチュアを造り、そこに神をまつったんですね。富士山頂にも浅間さんがまつってあるはずです(恥ずかしながら登ったことがない)。富士山はありがたい山、とはいえ、そうそう登れる山じゃない、だったら近場ですましちゃえ、と、江戸時代はほんとうに趣味人がたくさんいたものです。

お神輿といえば、昼に担ぐものとばかり思っていたので、「明日は朝が早いから、はやく寝よう」と布団に入ろうとする、と、ところの先輩から連絡あり、「何やってんだ、担いでるぞ!」、翌日の朝六時だとばかり思っていたら、前日の夕方六時だったんですね。

あわてて半纏(はんてん)に股引(ももひき)で駆けつけました。うかつにも、あやうく担ぎそこねるところでした。

今年は「陰祭(かげまつり)」(本祭は四年に一度)で、富士山の山開きの前日、夜に担いだんですね。十一時ぐらいまで担いで、お巡りさんに「いい加減にしろ!」なんてしかられたりして…。

「とうとい」「ありがたい」「おそれおおい」

神を形容するには、いろいろ言葉がありましょう。

神を担いで私が感じたのは、

「おもたい」

でした。神様は重たい。肩はすりむけて赤くはれあがるし、腰は痛いし。だいぶたっても痛い、そしてジワジワ感じました。

「いとしい」


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【2007/07/11 18:50】 | しり上がり通信 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の八十
「古文の星 ★」

 

古典文法の確認テストいかがでしたか?

45点以上なら、古典文法はかなりできます。あとは読めば読むほどメキメキ力がついていきますよ。

40点前後なら、もう一度ざっとおさらいしてから読解演習に入りましょう。

30点を下まわるようでしたら、用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用もあやしいカモ?基礎からきっちりやり直しましょう。その方が、結局は成績を上げる近道です。気合を入れてやれば二週間くらいで終わるはずです。

・用言の活用しっかり!

・係り結びしっかり!

・敬意の方向をおさえて、敬語動詞を覚える。

・助動詞の接続を覚える(用言の活用が言えれば、助動詞の活用はすぐ覚えます)。

・★マークをたどりながら助動詞、助詞の意味をおさえる。

メリハリをつけてやれば文法なんてあっという間に終わります。「つ」「ぬ」が完了か強意か?「まし」をどう訳すか?これらをゴッチャにして、ベターっと平板にやるから、いつまでたっても文法が終わらないのです。

★マークのついてないものは、サラッとやって、★マークの多いやつほどリキ入れてやる。あとでみなさんが復習する時の目安として★をつけてきたのです。

とにかく、文法なんてさっさと仕上げてしまうこと。夏からは読解をやらねば、です。

文法・単語・敬語の基礎力を身につけた人が読解していくと、

「何だっけ?」→文脈の中で思い出す。「何だっけ?」→文脈あるから思い出す。

という演習を繰り返していきます。つまり、やればやるほど基礎力は定着し、応用力(得点力)が身についていきます。反対、基礎力がないのに読解をこなしても、

「わからん」→「わからん」→「わからん」

せっかくの重要事項もスルー、つまり、「思い出す」という作業ができないのです。基礎力は相変わらず身につかないし、応用力も身につかない、ということになってしまいます。

「めざせ!古文の★」早いところ文法なんてカタをつけて、古文読解を楽しみましょう。

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【2007/07/04 19:36】 | 古文の基礎 61-80 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十九
「文法総仕上げ 確認テスト 解答・解説」

 

【解答・解説】

問一 次の 傍線部を口語訳しなさい。           (三点×十=三十点)

1 これ(和紙)に何をか書かまし。 

( 何を書いたらよいだろうか・何を書こうか )

【解説】仮定条件なし(反実仮想ではない)、疑問文、だったら「ためらいを含む意志」です。

2 少しのことにも、先達(せんだち=先輩)はあらまほしきことなり。

 ( あってほしい・いてほしい )

【解説】希望の助動詞「まほし」「たし」、自己の希望「~したい」か、他者への希望「~してほしい」か、文脈から判断しましょう。助動詞、終助詞にかかわらず、希望の表現は記述で口語訳がきかれます。

3 男も女も、いかでとく(=早く)京へもがなと思ふ心あれば、

 ( なんとかして早く京へ着きたい・着けばいいなあ )

【解説】希望(願望)の終助詞、「がな」「もがな」の訳はちょっと工夫が必要です。副詞「いかで」は希望(願望)や意志と呼応し、「何とかして~」。どちらも記述の王様。

4 いつしか梅咲かなむ

 ( 早く梅が咲いてほしい )

【解説】四段動詞「咲く」未然形「咲か」に接続し、他に対する希望(あつらえ)をあらわす終助詞「なむ」。副詞「いつしか」は希望(願望)や意志と呼応し、「早く~」。これもまた記述の王様。

5 我に今一度(ひとたび)声をだに聞かせ給へ

 ( せめてだけでもお聞かせください )

【解説】副助詞「だに」は配点の高い問題にからむので要注意!四段動詞「給ふ」命令形「給へ」。下に「意志」「希望」「仮定条件」「命令」をともなったら、最小限の条件「せめて~だけでも」。これは機械的な訳ですからカンタン、難しいのは類推「~さえ」です。

6 御心地も苦しければ、物もつゆばかりもまゐらず

 ( お食事も少しも召し上がらない )

【解説】「(飲み物・食べ物)参る」は、「飲む・食ふ」尊敬「召し上がる」。記述の王様です。「物まゐる」の形で、慣用的に「お食事を召し上がる」の意です。副詞「つゆ」は打消と呼応し、「少しも~ない」。いずれ、「参る」「参らす」はくれぐれも訳出に注意!最後の最後まで悩ましい敬語動詞です。いろいろな文脈で訳出していきましょう。

7 御船にたてまつり給ふ

 ( お乗りになる乗りなさる 

【解説】「(乗り物に)奉る」は、「乗る」尊敬「お乗りになる」。いずれ「参る」「奉る」の尊敬はホント、記述の王様中の王様。

8 (相手に向かって)「忍びては、参り給ひなむや

 ( 参上なさらないか・参上なさってはどうか・参上なさってくれないか )

【解説】「つ」「ぬ」未然形「て」「な」+「む」+「や」で、適当・勧誘「~してくれないか」「~しないか」「~したらどうか」、と訳はいろいろ。いずれ、会話文、手紙文で相手の動作について用いられるのがポイント。記述だとちょっと難しいですね、選択問題できかれます。地の文で「てむや「なむや」とあったらだいたい反語「~できようか、いや、できない」です。どちらも訳せるように。

9 呼ばすれど答(いら)へざなり

 ( 答えないようだ )

【解説】打消の助動詞「ず」連体形「ざる」。「ザリ系列」といわれる「ざら・ざり・ざる・ざれ」はラ変型活用語、ラ変(型)連体形は下に推定「なり」「めり」がくると撥音便(ん)をおこしたりして。でも、「ん」を書かない、無表記になるんですね。断定「なり」の上ではゼッタイ撥音便をおこしませんから、「撥音便+なり」は伝聞・推定にキマリ!文法の核心部分です。ココをあっさりクリアできる人は、ほぼ、文法がわかっている人ですね。伝聞か推定かは文脈から判断してください。「呼ぶ」と声がしている文脈ですから、推定「~ようだ」で訳したい。

10 一昨日(をとつひ)も昨日も今日も見つれども明日さへ見まくほしき君かも

 ( 明日までも(も)会いたい君 )

【解説】副助詞「さへ」は添加で「~までも」と訳す!「さへ」を「さえ」と訳してはいけません(平安の文章に関しては、ですが)。わかっちゃいるけど…ってやつです。「さへ・までも」と覚えましょう。選択肢を消す小ネタとしてよく使えます。虫食い問題にもなりますから、添加の構文の機能をしっかりおさえておきましょう。ちなみに、「まくほし」は上記「まほし」の古い形、和歌でよく使われます。

問二 次の傍線部の文法的意味として正しいものを、後の選択肢より選べ。

                              (二点×四=八点)

1 涙のこぼるるに、目も見えず、ものも言はず。

イ、受身  ロ、尊敬  ハ、自発  ニ、可能

【解説】打消「ず」をともなったら「る」「らる」はだいたい可能です。とはいえ、結局は不可能「~できない」になります(ただし、平安時代)。

2 (内大臣は)女房にも歌詠ま給ふ。

 イ、使役  ロ、尊敬

【解説】「せ給ふ」「させ給ふ」の形をとったら、最高敬語(二重敬語)といきたくなるのが人情ですが、「使役対象に(して)~す・さす・しむ」と使役の構文をとったら、いついかなる時も使役です。

3 鴨ぞ鳴くなる 山かげにして

 イ、断定  ロ、存在  ハ、伝聞  ニ、推定

【解説】四段動詞は終止、連体同形。「なり」が接続すると断定なのか伝聞・推定なのか、接続からはわかりません。ただし、「鳴くなり」「衣打つなり」の「なり」は推定に決まります。「鳴く」「衣打つ」と「音」がしていますから、伝聞でもない、「推定」にキマリ!です。新古今和歌集で大ハヤリした表現、ということは、早稲田大学とか、出したいところです。

4 春日野の飛ぶ火の野守出(い)でて見よ 今幾日(いくか)ありて若菜摘みてむ

 イ、強い推量  ロ、強い意志  ハ、可能  ニ、適当・当然

【解説】「連用形+て(「つ」未然形)む・な(「ぬ」未然形)む」は助動詞「べし」感覚で訳すといいですね。「あと何日したら若菜つみ?」と可能性が問題になっていますね。

問三 次の傍線部の解釈、または説明として最も適当なものを、後の選択肢より選べ。

                             (三点×四=十二点)

1 事いできなむず。いみじきわざかな。

  イ、事件がおこってはならない。

  ロ、事件がおこってほしくはない。

  ハ、事件がおこることはないだろう。

  ニ、事件がきっとおこるだろう。

【解説】「出で来」(いでく=起こる)連用形「いでき」+「な(「ぬ」未然形)」+「むず」です。助動詞「むず」は「む」とまったく同じ、意味で悩む必要はありません。上記は「な+むず」、つまり、「連用形+なむ」と同じ、上記のとおり、「べし」感覚で訳すといいですね。ただし、「むず」は品詞分解が問われます。文法問題にしてもいいですし、口語訳の問題にしてもいいです。打消「ず」とひっかけるのがお約束です。

2 「(使者として派遣したのが)永実(ながざね=人名)ならずは、わが恥ならまし」(と帝がおっしゃった)

イ、永実でなかったら、私は恥をかかなかっただろう。

ロ、永実ではなかったので、私は恥かかずにすんだ。

ハ、永実だったので、私は恥をかかずにすんだ。

ニ、永実だったなら、恥をかくことになっただろう。

【解説】助動詞「ず」連用形+「は」=仮定条件。仮定条件をともなった「まし」はすべて反実仮想と考えましょう。反実仮想は「ましかば~まし」よりも、「ずは~まし」「無くは~まし」などの方がきかれる可能性、大ですね。上智、早稲田、センター、要注意です。そのためには、とりあえず仮定条件をしっかり訳せるようにしておかなくてはなりません。で、反実仮想を訳す時には、必ず現実も出すクセをつけましょう。否定と肯定をひっくり返して「~ので」でつなげるだけです。やってみましょう。

(反実仮想=永実でなかったら、私の恥になっただろうに…)

(現実=永実だったので、私の恥にはならなかった)

と、上記の問は「現実説明」の問題にしたものです。その他の選択肢は「現実」と「反実」をゴチャ混ぜにしたものです。ひっかかるでしょう?上智とか、いかにも好きそうなひっかけです。

3 「かかる(帝の)御使ひの、よもぎふの露分け入り給ふにつけても、いと恥づかしうなむ

  イ、とてもきまりが悪いにちがいない。

ロ、とてもきまりが悪いことでございます。

ハ、とてもきまりが悪い思いをさせてしまいました。

ニ、とてもきまりが悪い思いをすることになってほしい。

【解説】「恥づかしく」のウ音便「恥づかしう」。形容詞本活用連用形+「なむ」は係助詞です。補助動詞「ある」「侍る」など、結びが省略されています。「未然形+なむ(終助詞)」「連用形+な(助動詞「ぬ」未然形)む(助動詞)」とひっかける。ひっかけの王様です。上記の問は口語訳でひっかけようとしたものです。見破れましたか?

4 「内々に、思ひ給ふるさまを奏し給へ

イ、お思いになっていることを帝に奏上してください。

ロ、思っておりますことを帝が命令なさってください。

ハ、お思いになっていることを帝の方からおっしゃってください。

ニ、思っておりますことを帝に申し上げてください。

【解説】「給ふる」「給ふれ」は下二段謙譲(へりくだり)の補助動詞にキマリ!あとは「~ます」と訳すだけです。「給へ(四段尊敬補助動詞已然形+ら・り・る・れ(完了「り」)」と、ひっかからないように。「奏す」は絶対敬語、「(帝に)言ふ」の謙譲「申し上げる」「奏上する」。最高敬語(二重敬語)は尊敬表現、主語=皇族(帝など)と決まります。絶対敬語「奏す」「啓す」は謙譲表現、「奏す」は「帝に申し上げる」、「啓す」は「中宮、皇后、東宮に申し上げる」、動作の受け手が決まります。どちらも皇族にまつわる表現ですが、「尊敬」か「謙譲」か、つまり、「主語」が決まるのか、「動作の受け手」が決まるのか、ひっかからないようにしましょう。

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【2007/07/04 02:30】 | 古文の基礎 61-80 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の七十八
「文法総仕上げ 確認テスト」

文法の仕上げに「確認テスト」をやってみましょう。

50点満点、45点以上なら文法卒業!あとはひたすら読解演習、「量」の勝負に入ってください。

【古典文法 総確認テスト】

問一 次の 傍線部を口語訳しなさい。                    (三点×十=三十点)

1 これ(和紙)に何をか書かまし。 

 (                )

2 少しのことにも、先達(せんだち=先輩)はあらまほしきことなり。

 (                )

3 男も女も、いかでとく(=早く)京へもがなと思ふ心あれば、

 (                )

4 いつしか梅咲かなむ

 (                )

5 我に今一度(ひとたび)声をだに聞かせ給へ

 (                )

6 御心地も苦しければ、物もつゆばかりもまゐらず

 (                )

7 御船にたてまつり給ふ

 (                )

8 (相手に向かって)「忍びては、参り給ひなむや

 (                )

9 呼ばすれど答(いら)へざなり

 (                )

10 一昨日(をとつひ)も昨日も今日も見つれども明日さへ見まくほしき君かも

 (                )

問二 次の傍線部の文法的意味として正しいものを、後の選択肢より選べ。

                                              (二点×四=八点)

1 涙のこぼるるに、目も見えず、ものも言はず。

 イ、受身  ロ、尊敬  ハ、自発  ニ、可能

2 (内大臣は)女房にも歌詠ま給ふ。

 イ、使役  ロ、尊敬

3 鴨ぞ鳴くなる 山かげにして

 イ、断定  ロ、存在  ハ、伝聞  ニ、推定

4 春日野の飛ぶ火の野守出(い)でて見よ 今幾日(いくか)ありて若菜摘みてむ

 イ、強い推量  ロ、強い意志  ハ、可能  ニ、適当・当然

問三 次の傍線部の解釈、または説明として最も適当なものを、後の選択肢より選べ。

                                             (三点×四=十二点)

1 事いできなむず。いみじきわざかな。

  イ、事件がおこってはならない。

  ロ、事件がおこってほしくはない。

  ハ、事件がおこることはないだろう。

  ニ、事件がきっとおこるだろう。

2 「(使者として派遣したのが)永実(ながざね=人名)ならずは、わが恥ならまし」(と帝がおっしゃった)

  イ、永実でなかったら、私は恥をかかなかっただろう。

ロ、永実ではなかったので、私は恥かかずにすんだ。

ハ、永実だったので、私は恥をかかずにすんだ。

ニ、永実だったなら、恥をかくことになっただろう。

3 「かかる(帝の)御使ひの、よもぎふの露分け入り給ふにつけても、いと恥づかしうなむ

  イ、とてもきまりが悪いにちがいない。

ロ、とてもきまりが悪いことでございます。

ハ、とてもきまりが悪い思いをさせてしまいました。

ニ、とてもきまりが悪い思いをすることになってほしい。

4 「内々に、思ひ給ふるさまを奏し給へ


  イ、お思いになっていることを帝に奏上してください。

ロ、思っておりますことを帝が命令なさってください。

ハ、お思いになっていることを帝の方からおっしゃってください。

ニ、思っておりますことを帝に申し上げてください。



以上、次回、解答と解説をしていきます。

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【2007/07/02 16:18】 | 古文の基礎 61-80 | トラックバック(0) | コメント(0)
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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