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大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の二十五
「敬語」 〈敬意の方向 3〉

〈本動詞/補助動詞〉

動詞の定義を確認しておきましょう。動詞とは「動作・存在」を表現する語でしたね。

コミュニケーション(モノのやりとり・コトバのやりとり)で多用される動詞は敬語表現をもっています。

  ・「与ふ」 → 尊敬「給ふ」 謙譲「奉る」

  ・「言ふ」 → 尊敬「のたまふ」 謙譲「申す・聞こゆ」

ところが、すべての動詞が敬語表現をもっているわけではありません。ほとんどの動詞は敬語表現をもっていないのです。

  ・「書く」 → 尊敬なし 謙譲なし

そこで、尊敬の代表選手「給ふ」、謙譲の代表選手「奉る」などが動詞にペタッとくっついて「尊敬」「謙譲」あるいは「丁寧」の敬意のみを補助してやります。

  ・書き給ふ

  ・書き奉る

  ・書き侍り

この表現で「動作」を表現しているのは「書く」ですね。「給ふ」「奉る」「侍り」は動作も存在も表現していません。敬意のみ補助する、このような敬語動詞を「補助動詞」とよんでいます。それに対して、動作・存在を表現する、本来の動詞として使われる敬語動詞を「本動詞」とよんで区別しています。

 

【本動詞/補助動詞】

・(動詞なし)敬語動詞   → 本動詞

動詞 + 敬語動詞   → 補助動詞

 

敬語動詞が出てきて上に動詞がなかったら本動詞、動詞にくっついていたら補助動詞と、基本的には、考えましょう。断定の表現(~である)、状態の表現(~している)など、例外はいくらでもありますが…。それは後のハナシにしましょう。

 

尊敬の補助動詞 = ~なさる・お~になる・~していらっしゃる

謙譲の補助動詞 = お~申し上げる

丁寧の補助動詞 = ~です・ます

 

これでだいたい敬語表現は訳せるはずです。

 

 

例 〈かぐや姫は〉おほやけ(帝)に 御文   奉り     給ふ

(かぐや姫は帝にお手紙を      差し上げ  なさる)

 

「奉る」=本動詞(上に動詞がない)

「与ふ」謙譲・差し上げる

作者(地の文)から帝(動作の受け手)への敬意

 

「給ふ」=補助動詞(上に動詞がある)

尊敬の補助動詞・~なさる

作者(地の文)からかぐや姫(「奉る」動作をする人)への敬意。

 

尊敬表現、動作をする人への敬意。謙譲表現、動作の受け手への敬意。とはいえ、補助動詞自体は動作の表現ではないので、上にある動詞の「する人」「される人」を考えてください。

ちなみに、二方面(する人、される人)に敬意を表す場合は必ず「謙譲+尊敬」でしたね。確認してください。
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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