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大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の二十八
「敬語」 〈まぎらわしい敬語動詞の識別 3〉

【平常語と謙譲の二マタをかけるもの】

 

★【聞こゆ・聞こえさす】

 

    〈意味〉             〈識別の要点〉

1.(音が)聞こえる          1.文脈に音のするものがある。

 ・うわさされる、世に知られる    ・世間的評価をいっている文脈。

 

2.「言ふ」謙譲(申し上げる)    2.「言ふ」対象が貴人。「『~』と(など)聞こゆ」の形をとることが多い。

3.謙譲の補助動詞(お~申し上げる)  3.動詞に下接し、「動詞+聞こゆ(聞こえさす)」の形をとる。

 

 

例1.宿直(とのゐ)申しの声聞こゆるは、

   (宿直申しの声が聞こえるのは、)

例2.これ昔名高く聞こえたるところなり。

   (ここはその昔評判になって世に知られた所である。)

 

例3.「いとよう似給へり」と内侍〈ないし〉のすけのきこえけるを、

   (たいそうよく似なさっていると内侍のすけが申し上げると、)

例4.竹の中より見つけきこえたりしかど、

   (竹の中から見つけ申し上げたけれど、)

 

 

例3・「『~』と~聞こゆ」の形をとっていることに注目。

例4.「動詞+聞こゆ」の形をとっていることに注目。

「聞こゆ」さらに謙譲の敬意を強めて「聞こえさす」。意味はまったく同じ、謙譲の用法も同じ、ただ敬意が強くなるだけです。

難しい敬語ではないし、さほど重要という感じもしないのですが、実戦では驚くぐらい出ています。例題を出してみましょう。

 

問 傍線部の解釈として適当なものを選べ。

  ~    動詞+聞こゆ      ~             

1 ~ 動詞すると耳に入って ~ 。

2 ~ 動詞とお聞きになって ~ 。

3 ~ 動詞と評判になって ~ 。

4 ~ 動詞し申上げ ~ 。

5 ~ 動詞し申上げ ~ 。

 

なんて具合でしょうか。「動詞+参らす」についても言えることですが、「動詞+聞こゆ(聞こえさす)」が傍線部中にあったら、まっ先に選択肢は謙譲の補助動詞「~し申上げる」で洗ってください。五者択一がだいたい二者択一になるでしょう。時間と労力を省いてくれます。

つまり、ドンピシャ!答が出てくる「大ネタ」ではありませんが、選択肢を減らす「小ネタ」としてよく使えます。文法事項は「道具」として使ってナンボです。使わない手はありませんよね?


ちなみに、「聞こゆ(聞こえさす)」の謙譲の用法って、「申す」と共通しているんですね、意外なことに。
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【2007/05/04 11:37】 | 古文の基礎 21-40 | トラックバック(0) | コメント(0)
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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