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大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の二十九
「敬語」 〈まぎらわしい敬語動詞の識別 4〉

この『古文の基礎』の編集方針は、「細かいヤツは後まわし、出るヤツを徹底的に!」でしたね。さあ、いちばんオイシイところにさしかかりますよ。敬語の山場、文法全体でもいちばんつっこまれるところです。徹底的に細かい説明をしていきますよ!!

 

【尊敬と謙譲(へりくだり)の二マタをかけるもの】

 

★★★★★【給ふ】

  〈意味〉

1.四段 「与ふ」尊敬(お与えになる、下さる)

2.四段  尊敬の補助動詞(~なさる、お~になる)

3.下二段 謙譲(※へりくだり)の補助動詞(~ます)

※コミュニケーションの相手に対して自己の認識する動作を低める働きをする。

 

「謙譲」なのに「~ます」と訳すとはナニゴトカ!と怒りの声が聞こえてきます。ごもっとも。

謙譲表現とは「低める」表現ではない、「高める」表現であると述べてきました。謙譲の補助動詞は「奉る」だろうが「参らす」だろうが「聞こゆ」だろうが、「動詞し申上げる」でOK。下二段謙譲(へりくだり)の「給ふ」というのは、唯一の(でもないけれど)例外、「低める」はたらきをします。

コミュニケーション(言葉のやりとり)関係で話し手(書き手)が聞き手(読み手)に敬意を表す。対等関係なら「ため口」です。聞き手(読み手)を「高める」のが丁寧表現。それに対して、話し手(書き手)自身を「低める」のが下二段謙譲(へりくだり)「給ふ」なのです。やり方は違っても結果は同じでしょ?

 

        聞き手(読み手)…

        ↑

話し手(書き手)…

 

結果的に丁寧と同じになるので「~ます」と訳しているのです。辞書をひくと「~させていただく」と訳していますが、なんともしっくりこない訳になってしまいます。下二段謙譲の補助動詞「給ふ」は「~ます」でOKです。あるいは「拝~」などをつけたりして、


・「思ふ」「覚ゆ」「知る」のへりくだり「存じます」「存じ上げる」

・「見る」のへりくだり「拝見する」

・「聞く」のへりくだり「拝聞する」


と訳せると、サイコーに気が利いていますね。というか、上智大学、早稲田大学レベルになると選択肢の訳になってくる可能性、大です。今のところは「~ます」でOK、年間通じてさんざん読んでいくはずですから、やがては上記のへりくだりの訳が出来るようになるといいですね。

ちなみに、「会話文」「手紙文」でしか使われないのは、つまりコミュニケーション(言葉のやりとり)関係、つまり「顔見知り」関係の中でしか使われないからなのです。「地の文」というのはコミュニケーション関係ではありません。言葉は一方通行でしょ?誰が読むのかわからんのに作者が「へりくだる」ことはないということです。

 

〈識別の要点〉

1.は本動詞、本来の動詞としての機能(動作の表現)をしている。上に動詞が無い。

 

2./3.の識別 … 補助動詞だから直前に動詞があり、「動詞+給ふ」の形をとる。


 

〈四段・尊敬の補助動詞〉


給 (  は  ひ  ふ  ふ  へ  へ  )

動詞+「給は、給ひ、給ふ」は四段、尊敬の補助動詞に決まる。


 

〈下二段・謙譲の補助動詞〉

…自分の動作のへり下りだから命令形は存在しない(「命令」は相手の動作でしょ?)終止形も用例がない。


給 (  へ  へ  ○  ふる  ふれ  ○  )

動詞+「給ふる、給ふれ」は下二段、謙譲の補助動詞に決まる。

 


※尊敬補助動詞/謙譲補助動詞の識別については、「動詞+給へ」のときだけ迷う。接続から確認。

已然・命令形がくるべき所に「給へ」とあったら尊敬の補助動詞

未然・連用形がくるべき所に「給へ」とあったら謙譲の補助動詞

 

〈確認〉

・下二段・謙譲の補助動詞「給ふ」は「思ふ、覚ゆ、見る、聞く、知る」といった認識を表す動詞にしかつかない。(ただしこれらの動詞に下接しているからといって下二段・謙譲と判断しないように)

・下二段謙譲の補助動詞「給ふ」は「手紙文」、「会話文」でのみ用いられる。(基本的に「地の文」で用いられないのは上記のとおり。)

 

例1.御使(みつかい)には、青鈍(あをにび)の綾(あや)一襲(ひとかさね)たまふ

(使いの者には藍色の綾織物一襲を下さる。)

※「給ふ」の上に動詞がないので本動詞とわかる。

例2.かぐや姫いといたく泣きたまふ

(かぐや姫はたいそうひどく泣きになる。)

※「動詞+給ふ」の形は尊敬の補助動詞に決まり。

 

例3.「こころゆかぬやうになむ聞きたまふる

(満足しないように聞きます。)

※「動詞+給ふる」の形は謙譲の補助動詞に決まり。あとは、会話文で使われている、OK!認識の動詞「聞く」に付いている、OK!と確認。

例3.「いさ、知り給へず」

(さあ、どうだかわかりません。)

「動詞+給へ」はチト迷う。必ず活用形から判断する。「ず」は未然形接続だから、「給へ」は未然形、下二段謙譲の補助動詞に決まる。あとは、会話文で使われている、OK!認識の動詞「知る」に付いている、OK!と確認。

 

ちなみに、なぜ助動詞の接続、活用を覚えるのが重要かわかりますね?それらがわからないと、結局、古文でいちばん出題される「動詞+給へ」の識別ができないのです。

 

出題パターンとしては、「動詞+給へ」の形でしか聞かないでしょう。下二段謙譲に傍線、「傍線部とおなじ用法のものを本文中(選択肢の中)から選びなさい」なんて問いです。


早稲田大学になると虫食いで出します。

 

問 「給ふ」を適当に活用させて空欄を補いなさい。

  「 ~思ひ(   )て、 ~ 」

 

なんて具合ですか?実際、過去に出しています。だ・か・ら、「へりくだり」の定義を細かく説明したのですよ!文脈がわかっているうえに、「給ふ」の定義をしっかりおさえていないと虫食い、並べかえ問題に対応できないからなのです。かしこい受験生は戦略的にものを考えるように!早稲田大学が「動詞+給へ」に傍線、「同じものを選びなさい」って出すわけが…ない!

 

さらに細かく見ておきましょう。

下二段・謙譲の補助動詞「給ふ」は、複合動詞(二つの動詞が複合し一つの動作を表現する)に接続する場合は間に割って入ります。というか、認識を表す動詞「思ふ」「見る」などはたくさん複合動詞を作ります。「思ひ知る」「見付く」など。そのとき、へりくだり「給ふ」は意地でもそれらの動詞に直接つながろうとするんですね。

 

「思ふ(動詞)」+「付く(動詞)」=思ひ付く(複合動詞)…動作は一つでしょ?

〈へりくだり〉=「思ひ付く」→「思ひ給へ付く」

ちなみに四段・尊敬の補助動詞「給ふ」は、くっつく動詞が決まっているわけではないので、そのまま接続し、

〈尊敬〉=「思ひ付く」→「思ひ付き給ふ

となります。実際に上智大学『源氏物語』で出しています。やってみましょうか?

 

問 傍線部と同じ用法(謙譲)のものをa、異なるものをb、としなさい。

 ・ ~ 見分け給へば、

 

と、忘れたので表現はテキトーに作ってみました。趣旨は同じです。この選択肢、接続助詞「ば」で終わっているので、「未然形+ば(仮定条件)」なのか、「已然形+ば(確定条件)」なのかわかりませんね?つまり「四段・尊敬」なのか、「下二段・謙譲」なのか区別できません。どこから判断します?

そう、「見分く」って、動作は一つ、複合動詞でしょ?「見給へ分く」と間に割って入っていない、ということは、四段・尊敬の補助動詞なんですね。これが実戦。難関大学、最重要事項レベルはここまでやらんと点数にできんですよ。
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【2007/05/05 00:17】 | 古文の基礎 21-40 | トラックバック(1) | コメント(2)
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コメント
ブログ記事へのリンクのお知らせと御礼
谷村様
こんにちは、はじめまして。
古い記事へのコメントで申し訳ありません。
わたしはこの春から東洋大学の通信教育の文学部日本文学文化学科で勉強を始めた者です。
この8月8、9、10日とスクーリングで『和泉式部日記』の勉強をしてきたばかりなのですが、ちょうど「其の二十九」と「其の三十」の内容のところを学んできました。
自分の読書日記のブログに復習がてら、その内容を綴ったのですが、こちらの記事が大変に参考になったものですから、「其の二十九」と「其の三十」の記事についてリンクを張らせて頂きました。
わたしのほうは趣味のブログですし、こちらはご本業のようですので、もし何か不適切なことがありましたら、なんなりとご連絡ください。
すみやかに削除、訂正いたします。
どうぞ宜しくお願いいたします。
【2007/08/11 20:09】 URL | ほんのわ #oqA4j9DU [ 編集 ]
はじめまして
お役に立つことができたなら幸いです。
つたない記事ですはありますが、またお立ち寄りくださいませ。
【2007/08/17 18:09】 URL | 谷村 #- [ 編集 ]
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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