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大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の六十三
「助動詞」 〈断定「なり」 1〉

さあ、ラスト一山、ここをこえれば文法問題で点数をかせげるようになりますよ。いわゆる三大識別問題「なり」「なむ」「に」のうち、「なり」と「に」のカタがついてしまいます。

「助動詞」とは読んで字のごとく、「動詞をお助けすることば」なのですが、例外的に体言(名詞)・連体形に接続する、それが断定の助動詞「なり」です。活用は形容動詞ナリ活用とまったく同じです。

断定は「たり」もありますが、まあ、無視しましょう。出ませんから(でも、大昔、早稲田の政経かなんかで「と」を出したことがありましたが…ムシムシ)。

 

【断定「なり」の連用形「に」】★★★★★

・今年のセンター試験で出ましたね。体言・連体形に接続し、「にあり」の形で「である」、「にて」の形で「であって」と訳せる「に」は断定の助動詞なりの連用形です。

 

・体言・連体形+(断定「なり」連用形)+あり(補助動詞)

~である …断定

 

・   〃      〃     +侍り候ふ(丁寧の補助動詞)

~でございます …断定の丁寧表現

 

・   〃     〃   +おはすおはします(尊敬補助動詞)

~でいらっしゃる …断定の尊敬表現

 

※「にあり」で断定を表現していたものが「なり」になったといわれています。断定「なり」の古い形なんですが、いつまでも残っていく、で、いつも「あり」の上にあるから連用形としたんですね。

「にあり」とはいっても、実際は接続助詞や敬助詞が間に入って使われます。

・「体言あり。」(体言である。)

・「体言こそあれ。」「体言ある。」(体言である。)

なんて具合です。

 

・~+や・か(疑問の敬助詞)あら+む(推量助動詞連体形)。

 =~であろうか。 …断定の疑問

 

などその典型例なんですね。出るんだこれが…。断定の疑問などしょっちゅう使われるので、よく省略されます。

 

・~や(か)。 …「あらむ」の省略

 

で、「に」に傍線、「に」ってな~んだ?って問題、「に」の識別でいちばん出るやつですよ。

「おのづから慰むかたもあるや、」

って、今年のセンター試験で出ていますね。いずれ「に」の識別のところで徹底的に解説していきましょう。とりあえず、「にや(か)。」で「に」が断定「なり」の連用形と説明できるように。「~であろうか」と断定の疑問を訳せるように。解釈の問題にもなります。「大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の二十」参照のこと。

ちなみに、「あり」が補助動詞ってナンデ?という素朴な疑問もわいてくるでしょう。敬語の感覚からすれば動詞にくっつくんじゃないの?と。

へ理屈を言いましょう。動詞の定義は「動作(~する)・存在(いる・ある)」をあらわすのでしたね。ところが、上記の「あり」「はべり・さぶらふ」「おはす・おはします」はいずれも「動作・存在」の表現ではありません。断定の表現です。で、動詞とはいえないだろう、しょうがないから「に」にくっついて断定を補助する補助動詞、と考えたわけです。

 

例 わが身一つの秋あらねど

 (私だけに訪れた秋はないけれど)


※このように、「にあり」の形とは言ってもほとんどの場合「に」と「あり」の間に接続助詞や係助詞などがはさまります。ここでは係助詞「は」がはさまっていますね。


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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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