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大学入試 基礎講座 『現代文・小論文の基礎』 其の十四
「接続関係」 〈抑揚〉

「強・弱」をつける表現といったら、なんといっても「抑揚表現」がその典型です。「程度が軽いもの」でいったん「抑(おさ)え」ておいてから、「程度の重いもの」を「揚(あ)げ」ていきます。

 

A(程度の軽いもの)でさえ

ましてB(程度の重いもの)はなおさらだ。

 

古文の「類推」、漢文の「抑揚」が同じ表現です。「古文の基礎」で一度述べましたが、もう一度確認しておきましょう。


 

【古文】

類推の構文 …

 だに(すら)まして 

でさえましてやはなおさらだ。)

 

【漢文】

抑揚型 … 

 且  

 スラ且(か)ツ況(いはん)ヤ  ヲヤ

でさえなのだから、ましてにおいてはなおさらだ。)

 

いずれにしても、「」という点(ここを確認するのがミソ!)で、「A=程度の軽いもの」、「B=程度の重いもの」というのは同じです。「A=B」、両者はイコール関係、同類項ですが、AよりもBの方が「」という点において程度が重くなっていきます。「弱―強」のリズムで「B」を強調する「強調表現」という点では、前回やった「添加」と同様の表現といえます。具体例に即して見てみましょうか。

 

【具体的事例】

夏の高校野球、地方予選。ノーアウト満塁、一打逆転の大チャンス。打順は四番、ところがストレートど真ん中を見送り三振、選手は頭をかきながらベンチに帰ってきます。さあ、監督はカンカンに怒っています。

「バカヤロー!あんなタマ、小学生でさえ打てるぞ!!」

 

ここで監督が何を言いたいのか「類推」してみましょう。

(ストレートを)打ち返す」という点で、「小学生」は程度が軽いのがわかりますね。まだヒヨッコですから、打てないこともよくあります。でも、さんざんバッティングの練習を積んできた高校球児がストレートをきっちりセンター方向に打ち返すのはあたりまえ、程度が重いのです。

「あんなタマ、(打つ程度が軽い)小学生でさえ打てるぞ!まして(打つ程度が重い)高校生なら打つのはなおさらだ、当然だ、言うまでもない!」

と監督は言おうとしているわけです。

「程度の軽いもの=抑」「程度の重いもの=揚」だから、「抑揚表現」。「程度の軽いもの」だけいえば「程度の重いもの」は自然に類推できるので「類推表現」、言い方はちがっても構文の機能は同じです。この「機能」をおさえてしまうのがこれらの構文を理解するポイントでしたね。

現代文の副詞の虫食いで、「まして」がよく出たりします。空欄の前後が「程度の軽/重」の関係になっていたら、「まして」が入ります。

小論文において、この抑揚表現を使って、「まして、自分の意見は当然だ」と、強調できるようなら、とてもすばらしいですね。

古文の説話や、漢文の教訓話、本文末のいちばんおいしいところによく用いられる表現です。だって「強調表現」ですからね。ほぼ、間違いなく設問になるでしょう。しかも配点は高い。オイシすぎます!!

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【2007/09/04 15:59】 | 現代文・小論文の基礎 | トラックバック(0) | コメント(0)
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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