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大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の十五
「用言の活用」 〈形容詞・形容動詞の語幹構文〉

形容詞・形容動詞は語幹の独立性が強く、語幹をもとにいろいろな表現が作られていきます。古文を読解していくうえでおさえておかなければなりません。

語幹構文の解説の前に、形容詞・形容動詞の「語幹」と「活用語尾」をもう一度復習しておきましょうか。

「語幹」とは、活用しても形が変わらない部分、「活用語尾(以下、語尾と省略)」とは、活用にともない形が変わっていく部分。

ク活用形容詞「早し」なら、「語幹=はや」「語尾=く・から・く・かり・し…」。

シク活用形容詞「なつかし」なら、「語幹=なつかし」。以前に解説したとおり、シク活用形容詞は語幹と語尾を明確に分けることができません。でも、「語幹構文」としてひとくくりにした方が皆さんがラクチンだと思いますので、終止形と同じ「なつかし」を「語幹」として解説していきます。つまり、「ク活用形容詞の場合は語幹、シク活用形容詞の場合は終止形」として解説すると、構文が二つになって面倒でしょ?というだけのことです。

ナリ活用形容動詞「あはれなり」なら、「語幹=あはれ」、「語尾=なら・なり・に・なり…」。

さて、解説していきましょう。

 

★【形容詞・形容動詞の語幹を用いた感動、詠嘆の構文】


・「あな(感動詞)」+形容詞・形容動詞の語幹

感動、詠嘆(ああ~だなあ。なんと~ことよ。)


・あな、をさな   (ああ、子供っぽいことだなあ)

・あな、いみじ   (なんと、ひどいことだ)

・あな、あはれ   (ああ、悲しいことだなあ)


 

★【形容詞・形容動詞の語幹を用いた連体修飾の構文】


形容詞、形容動詞の語幹+「」+体言(名詞)

        =連体修飾(連体形の感覚で訳す)


・憎(にく)の男=憎き男   (憎い男)

・をかしの御髪(みぐし)=をかしき御髪   (すばらしい髪)

・とみの事=とみなる事   (急な用事)

 


★★★★【形容詞の語幹を用いた原因、理由の構文】…和歌のみで用いられる。


体言(名詞)+「」+形容詞の語幹+「(接尾語)」

        =原因、理由(名詞++形容詞+ので、)


・瀬を早み岩にせかるる滝川~   (瀬が早いので~)

・野をなつかしみ~   (野が離れがたいので~)


上智大学でよく出していますね。センター試験も早稲田大学も和歌大好き!…ということは出る確率、大なりですね。和歌でしか用いられない構文ですから。

ちなみに、和歌は定型、字数制限がありますから、よく省略がおこります。


      ・山高み … 山(を)高み   (山が高いので)

      ・逢ふこともなみだに浮かぶ我が身には~  

      (かぐや姫、あなたと逢うこともないので、悲しみのに浮かんでいる我が身には~)

       ※「涙」の「なみ」に「無み」が掛けられている。


と、だんだん難しくなるでしょ?いちばん難しいのは、ク活用形容詞語幹が「かな」で書かれた場合です。上記の例だと「瀬をはやみ」と「かな」で書かれると、途端に難しくなります。まして「なみだ」なんて掛詞になった日には、たまったものではありません。でも、そこをあやまたずうがってくるのが早稲田大学。早稲田大学の古文の難しさは「かな」だと、再三、口をすっぱくして言っておきましょう。

この構文、ク活用語幹の訳出のポイントは、

 

和歌で訳を聞かれて、訳せない「み」があったら、「し」をくっつけてみて、ク活用形容詞ではないか、確認してみる

 

です。上記の例なら「はやみ?→早し!」「なみ?→無し!」といった具合です。

かしこい受験生は戦略的にものごとを考えねば、ですよ。
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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