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大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の五十五
「助動詞」 〈き〉

 

【「き」のカ変、サ変への接続】★

過去の助動詞「き」は連用形接続ですが、カ変、サ変には未然形に接続する場合もあります。品詞分解などでよくつっこまれる所ですね。接続パターンが決まっているので覚えてしまいましょう。

 

〈カ変〉                               

 

こ(「来」未然形) ← し(「き」連体形)
              しか(「き」已然形)

              


き(「来」連用形) ← し(「き」連体形)

              しか(「き」已然形)   

 

〈サ変〉 


せ(「す」未然形) ← し(「き」連体形)

              しか(「き」已然形)


し(「す」連用形) ← き(「き」終止形)

       

※「こし・こしか・きし・きしか」「せし・せしか・しき」なんて覚えましょう。練習しとく?

 

練習 傍線部の品詞分解の組み合わせとして正しいものを選べ。

 ・われとくこしかば勉強をぞせし

  1 動詞+助動詞    助動詞+動詞

  2 動詞+動詞+助詞   動詞+助動詞

  3 動詞+助詞+助詞   助動詞+動詞

  4 動詞+助動詞     動詞+助動詞

 

解答 4 

口語訳 私は早く来たので勉強した。

 

なんてね。あるいは、「適当に活用させて空欄を補え」なんて虫食い問題にしてもいいですね。いずれ、「き」については、活用しっかり、「カ変」「サ変」の接続しっかり!

ちなみに、過去の助動詞「き」は、自ら経験した過去(経験過去)について用い、過去の助動詞「けり」は、自分で経験していない、人づてに聞いた過去(伝聞過去)について用います。たま~に、「き」が入るか、「けり」が入るか、虫食いで問われますから、一応、差異をおさえておきましょう。
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【2007/05/31 19:38】 | 古文の基礎 41-60 | トラックバック(2) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の五十四
「助動詞」 〈最重要「まし」 3〉

「まし」とでてきたら反実仮想、といきたくなるのですが、どっこい、実戦では「ためらい」も同じぐらいよく出ています。「まし」のその他の意味を見ていきましょうか。

 

【「まし」ためらいを含む意志】★★★★

「仮定条件句~まし」はすべて反実仮想と考えるのでしたね。

仮定条件句をともなわず、疑問文(疑問語「いつ・たれ・なに」等、あるいは係助詞「や」「か」がある)であったならためらう気持ちを表す表現。

 

疑問文(仮定条件句なし)~まし 

                        =ためらいを含む意志(~したらよいだろうか

 

例 いづかたに身をたぐへまし

(どちらのお方に身を寄せたらよいだろうか。)

※仮定条件句なし(反実仮想ではない)、「いづかた」(どちら)と疑問語がある、よって「ためらい」で訳します。

 

例 いかにまし

(どうしたらよいだろうか。)

※「せ」=サ変動詞「す」未然形。途方に暮れた時、慣用的につかわれる表現です。『蜻蛉日記』なんかによく出てきます。で、よく聞かれる表現です。

受験生に訳させると「どんなに狭いのか」と訳してきます。笑っている人もいるかと思うのですが、10人中2、3人ぐらいいますよ。記述でよく聞かれるので、練習してみましょうか。

 

問 次の文を口語訳しなさい。

1 何をか食はまし。

2 これをや奉らまし。

 

解答

1 何を食べたらよいだろうか。

2 これを差し上げたらよいだろうか。

 

※疑問文だから「ためらい」はダメ!だって、反実仮想で反語、なんてよくありますからね。「声なくは~誰か知らまし」って反実仮想の例文にあげたでしょ?必ず、仮定条件なし、疑問文、よって「ためらい」と判断していってください。

 

【「まし」仮想】★

仮定条件句をともなわず、疑問文でもなかったらただの仮想の表現と考えましょう。

 

仮定条件なし(反実仮想ではない)

疑問文ではない(「ためらい」でもない)

   ↓

仮想  ~したらよかったのに…。

 

例 見る人もなき山里の桜花ほかの散りなむのちぞ咲かまし

(見る人もいない山里の桜花よ、他の桜が散った後で咲いたらよかったのに

 

※「まし」がただの推量(~だろう)、「む」と同じ感覚で用いられる場合もよくあります。でも、推量を聞いたってしょうがないでしょ?わざわざ傍線部訳の問題になっているなら以上の三者と考えてよいでしょう。受験生は戦略的にものごとを考えねば、でしたね。
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【2007/05/30 16:18】 | 古文の基礎 41-60 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の五十三
「助動詞」 〈最重要「まし」 2〉

前回、反実仮想から現実を読みとる練習をしましたね。それでは、さらに反実仮想のいろいろな表現を見ておきましょう。

 

【「まし」反実仮想 2】★★★★★

普通は「未然形+ば(接続助詞)」で仮定条件句をつくりますが、形容詞、形容詞型活用助動詞「べし」「まじ」、打消「ず」などは「連用形+は(係助詞)」で仮定条件を表現します。仮定条件については後でまた詳述します。

 

(仮定条件)

形容詞本活用連用形+は 

打消助動詞「ず」連用形+は

                      ~まし   = 反実仮想

 

仮定条件句をともなった「まし」は、何だろうが反実仮想。反実仮想の表現は、

仮定条件句 ~ まし = 反実仮想(~したなら、~しただろうに)

とおさえましょう。じゃないと応用がききませんよ。例文を見ましょう。

 

例 鴬(うぐいす)の谷より出づる声なくは春来ることを誰か知らまし

   (うぐいすが谷から出てきて鳴く声がなかったら春がくることを誰がわかるだろうか、

                                       いや誰もわからないだろうに

  現実→(うぐいすが谷から出て来て鳴く声があるので、春が来たことを誰もがわかる。)

 

※ク活用形容詞「無し」本活用連用形「無く」+係助詞「は」で仮定条件、よって「まし」は反実仮想、訳す時には必ず現実を出すクセをつけてください。

ちなみに、「誰(たれ)か」と反語になっているので、口語訳、現実の読み取りがちょっと難解ですね。だからこそ「場数」をふまなくてはいけません。一回やったからOK!とはいきませんよ。いろいろな文脈で和歌を読み込んでいく、早稲田大学などの難関大学を目指す人、センター試験8割をねらう人は肝に銘じてください。

反実仮想は和歌で多用されるのでしたね。上記のような和歌があった場合、「春告鳥(はるつげどり)」としてのウグイスをほめたたえている歌だと大意をおさえてほしいものです。ソコがつっこまれますよ。

 

例 帝の使者として派遣された永実(ながざね)さん、ベテランの女官に連歌をいどみかけられて、みごとに詠んでみせる。そこでご主人さまの帝が発したおことば。

「永実ならずは我が恥ならまし

(つかわしたのが永実でなかったなら、私の恥になっただろうに

  現実→(つかわしたのが永実だったので、私の恥にならずにすんだ)

 

※打消助動詞「ず」連用形「ず」+係助詞「は」で仮定条件、よって「まし」は反実仮想、必ず現実を出してください。

上記の例なら、「和歌を詠め!→すぐに、その場の状況にあわせて巧みに和歌を詠む→幸せ(帝からおほめのおことばをいただく)」といった文脈を読み取ってほしいのです。『古文のツボ』で展開し、センター試験で的中させましたよ。

 

以上、反実仮想について、かなりくわしく見てきました。なぜ、反実仮想が重要なのかわかりましたか?和歌もふくめて文脈の山場、核心部で用いられる決定的な表現だからです。設問になるし、配点も高い、ただし、意味の丸暗記じゃ使い物にならないということです。あせる必要はありません。夏あたりからガンガン演習量をかせいでいきましょう。
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【2007/05/29 09:44】 | 古文の基礎 41-60 | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の五十二
「助動詞」 〈最重要「まし」 1〉

 

【「まし」反実仮想 1】★★★★★

反実仮想とは漢文チックに読むと「実ニ反シテ仮想ス」、現実に反して仮に想像するという意味です。いまさら言ってもしょうがないことを後から詠嘆的にイジイジ回想する表現。大学受験生なんだから、「ましかば~まし」は反実仮想、といったワンパターンはやめましょう。応用がききません。

「ましかば~まし」「せば~まし」といった典型的な反実仮想の表現に限らず、仮定条件句をともなったら「まし」は全て反実仮想です。

「ましか」は「まし」の未然形、「ませ」は「まし」の上代未然形(『万葉集』で出てきますね)、「せ」は助動詞「き」の未然形(「き」の未然形は「せば」の形でしか使われません)。

ね、結局みんな「未然形+ば」で仮定条件句を構成しているわけです。

 

 仮定条件句 ~ まし = 反実仮想~したなら、~しただろうに

 

ましか(「まし」未然形)+ ~ まし

ませ(「まし」上代未然形)+ ~ まし

    (「き」未然形)+ ~ まし

活用語未然形 ~まし。       例 書かば~まし。読まば~まし。等

 

いまさら言ってもしょうがない、過去の事実について仮想する表現、べつに過去の表現がなくても「~なら、~だろうに」と過去で訳すのはそのためです。

また、いまさら言ってもしょうがにことをイジイジ、想像するわけですから、「~だろう」「~だろうになあ」と詠嘆的に訳すことになります。まあ、訳しても訳さなくてもどうでもよいでしょうが。

反実仮想を訳せるのは当然。反実仮想から現実を説明できるようにしてください。仮定条件句とその帰結の句とをそれぞれ肯定は否定に、否定は肯定に入れ換えて、確定条件「~ので(原因・理由)」でつなぐと現実が出てきます。

 

反実仮想 仮定条件句(~したならば)~帰結(~しただろうに)。

        ↑                ↑

        ↓                ↓

現実    確定条件句(~ので) ~   帰結。

        「肯定⇔否定」をひっくり返す

 

現代語で練習してみましょうか?

・あの時やさしくしていたならば、カノジョとわかれずにすんだだろうになあ…。

いまさら言ってもしょうがないのに、メメしくイジイジ、反実仮想していますね。さて、その事実やいかに?

・あの時やさしくしなかったので、カノジョとわかれてしまった。

それが悲しい現実ってわけ。ひっくり返して「~ので」でつなげるだけ、簡単でしょ?古文でやってみましょうか。

 

例 わが背子(せこ)と二人見ませばいくばくかこの降る雪のうれしからまし

   (私の夫と二人で見たなら、どんなにこの降る雪がうれしいだろうか)

 現実 → 夫と二人で見ることができないので、この降る雪がうれしくもなんともない。

 

「ませば~まし」、典型的な上代、『万葉集』の表現です。防人(さきもり)か何かで、夫が国境防備にでもかりだされたのでしょうか、恋しい夫と別れ別れになった女の悲しみが読みとれますか?

そう、実は「反実仮想」の表現て、この「現実」の読み取りが求められるんですね。「反実仮想」って、イジイジした詠嘆的な表現だって言いましたね。詠嘆的な表現、って「和歌」がそうでしょ?つまり、「反実仮想」は和歌で多用される表現なんですね。センター試験がほぼ毎年、和歌を出題していますね。私立の難関、早稲田大学しかり、上智大学しかり。受験生、最後の最後は「和歌の勝負」と、『古文のツボ』で展開してきました。

考えてもみてください。「ましかば~まし」に傍線を引いて「口語訳としてふさわしいものを選べ」って、出してもしょうがないでしょ?難関大学の受験生なら当然、点数にします。

「ましかば~まし」ってあっても傍線なんか引かない、「和歌の説明」あるいは「本文の内容説明」で聞くといいですね。当然、配点は高い。センター試験なら「問六」といったところでしょう。点差が決定的に開いてしまいます。上智大学なら○×問題の中に「現実」を入れてもいいですね。

わかりましたか?反実仮想「ましかば~まし=~したなら~しただろうに」はもう卒業してください。反実仮想を訳す時は、必ず現実をだすクセを普段からつけましょう。なに、慣れれば簡単です。
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【2007/05/28 19:25】 | 古文の基礎 41-60 | トラックバック(3) | コメント(0)
大学入試 基礎講座 『古文の基礎』 其の五十一
「助動詞」 〈むず〉

助動詞「むず」は「む」とまったく同じ。「むず」だからといって特別な意味はありません。「む」に格助詞「と」、サ変動詞「す」をくっつけて、「むとす」と表現していたものが「むず」になりました。だから、「サ変型」に活用するわけです。

  ・「む」+「と(格助詞)」+「す(サ変動詞)」→「むとす」→「むず」=「む」(推量・意志)

です。

「むず」はどこまでいっても「む」と同じ、意味で悩む必要はありません。

た・だ・し、実戦ではメチャメチャ出ます。★マークは付いていませんが、マジで出ます。「そんなの、楽勝!」

と受験生が思っているところに落とし穴があるんですな。

「むず」は、常に品詞分解が問題になる助動詞です。練習してみましょうか?

 

練習1 次の傍線部の文法的説明として正しいものを選べ。

・事ぞいできなむずる

 イ、助動詞「ぬ」+助動詞「む」+助動詞「ず」+助動詞「る」

 ロ、助動詞「ぬ」+助動詞「むず」+助動詞「り」

 ハ、助動詞「ぬ」+助動詞「むず」+助動詞「る」

 ニ、助動詞「ぬ」+助動詞「むず」

 ホ、助動詞「ぬ」+助動詞「む」+助動詞「ず」+助動詞「り」

 

あるいは次のような口語訳の問題にしてもいいですね。

 

練習2 次の文の口語訳として適切なものを選べ。

・事ぞいできなむずる。

 イ、事件がきっとおこるだろう。

 ロ、事件などおきるはずがない。

 ハ、事件が自然におこるだろう。

 ニ、事件は起きてしまっただろう。

 ホ、事件は結局おこらなかった。

 

 

解答

練習1、「ニ」

できましたか?

係助詞「ぞ」を受けて「むず」連体形「むずる」でした。

練習2、「イ」

できましたか?

強意の助動詞「ぬ」未然形「な」+助動詞「むず」連体形「むずる」でした。結局、「連用形+なむ」と同じ、助動詞「べし」と同じはたらきをするのでしたね(前回参照)。ここでは「強い推量(きっと~だろう)」です。

わかりましたか?このように助動詞「ず」「る」「り」とひっかけるのです。わかっちゃいるけど、ひっかかる、っていうやつですね。傍線を長めに引く、あるいはまったくひかないで出すのが作題のミソなんですね。

助動詞の接続、活用を覚えてから意味に入るように、と言った理由がわかりますね?接続・活用があやふやじゃ、あっさりひっかけられますよ!

まあ、「むず」は、ドンピシャ!答えが出てくるような「大ネタ」ではありませんが、選択肢を消す「小ネタ」としてよく使えますよ。だいたい五者択一が二択になります。口語訳問題、傍線部に「むず」「むずる」「むずれ」とあったら、必ず助動詞「むず」で選択肢を洗ってくださいね。
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【2007/05/26 14:26】 | 古文の基礎 41-60 | トラックバック(1) | コメント(0)
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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