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大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の二
「和歌ってわかんない 2」 〈枕詞〉

受験生、最後の最後は和歌の勝負だ、と口をすっぱくしていってもなかなかピンとこない人が多いようです。なぜ和歌が重要かというと、和歌の解釈を求めることで、人物関係や心情把握など、つまりは本文全体の要約を問うことができるからです。やはり先に述べたとおり、センターなどがその典型です。しかも、センターは贈答歌(歌を詠みかけられたら必ず返歌を詠み返す、物語や日記など、二つで1セットという展開をすることが多い。和歌はコミュニケーション、特にも男女の恋愛の重要なメディアだった)で本文全体の要約をきいたりするのでナンギです。とりあえず、和歌の修辞(言葉のお飾り)の代表選手、「枕詞」からやっていきましょう。

〈枕詞〉…決まって五音、特定の語にかかる。

〈代表的枕詞〉

   あしひきの→山

   あづさゆみ→押す・引く・張る・射る

           (弓は押して引いて張って矢を射る)

   あまざかる→ひな(田舎の意)

   あらたまの→年・月・春

   あをによし→奈良

   うつせみの→命

   からころも→着る

   くさまくら→旅

   しろたへの→衣(ころも)

   たまきはる→命

   たまほこの→道

   たらちねの→母

   ちはやぶる→神

   ぬばたまの→黒・夜・髪(色の黒いものがくる)

   ひさかたの→空・天(あめ・あま)・光・月(空に関する語がくる)

以上、入試に必要最低限なものだけあげたので覚えてしまいましょう。虫食い問題で問われます。「(   )旅にしあれば…」あるいは「草枕( )にしあれば…」どちらをきいてもよいでしょう。その昔、早稲田の(確か)一文で「たまくしげ→ふた・箱」を出したことがありますが、それはちょっとシブすぎかもしれません。が、上記のようなメジャーどころは点差がついてしまうので落とせません。

ちなみに、和歌の修辞は何も和歌に限ったことではありません。近世江戸期、特にも国学者たちは散文(普通の文章)の中でやたらに和歌の修辞を使ってくるので、ゆめおろそかにはできません。和歌の修辞は、実は江戸期の散文が出題された時に要注意なのです。

なかなか覚えられない人は普段の生活の中で使ってみるとよいでしょう。たとえば「たらちねのママ」とか。カレシ、カノジョを呼ぶときには「若草の→夫(つま)・妻(つま)」という美しい枕詞がよいでしょう。
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【2006/12/15 15:50】 | 古文のツボ | トラックバック(0) | コメント(0)
大学入試直前講座 『古文のツボ』 其の一 
「和歌ってわかんない 1」 

いきなりオヤジギャグですみません。入試直前、受験生がこの時期にツメておきたい知識を連載していこうと考えております。センター試験も近づいてきましたので、とりあえず「和歌」について確認してみましょう。過去問をやってみればわかると思いますが、センターはほぼ毎年、和歌について出題しています。早稲田や上智など、難関私大においても同様の傾向があります。和歌というと受験生の誰もが苦手にしています。だからこそ点差を広げるチャンスなのです。上記のギャグ、この時期、毎年受験生に言ってみるのですが、あっさりスルーされることが多かった・・・(トヒョヒョ)とは言いながら、和歌を解釈する上では重要な感性なのです。

     あたりまえだのクラッカー

古いギャグですが、わからない人はお父さんに聞いてみましょう。これが掛詞になっているのがわかりますか?「あたりまえだ」と「前田の」(前田製菓というのがその昔子供たちの心をわしづかみにした・・・らしい)と、二重の文節関係になっていますね。江戸っ子になじみ深いところでは、

     おそれ入谷(いりや)の鬼子母神

     びっくり下谷(したや)の広徳寺

なんてえのがありやす。「恐れ入り」と「入谷の」(現在の東京都台東区にある地名、鬼子母神がまつられていた)が二重文節関係、「びっくりした」と「下谷の」(現在の東京都台東区にある地名、広徳寺があった)が二重文節関係。これを応用すると、

     あったカイヤは麻世の鬼嫁

といった表現が可能です。で、肝心かなめの和歌です。『竹取物語』で、帝の求婚を断って不死の薬を残し、月に帰ってしまったかぐや姫、あとに残された帝が詠んだ歌。

     逢ふこともなみだに浮かぶわが身には死なぬ薬も何にかはせむ

どこが掛詞になっているかわかりますか?上の文脈から読むと「逢ふ・ことも・無み」※「無み」・・・「~無いので」(ク活用形容詞「無し」語幹「無」+「み(接尾語)」=原因理由を表す構文。和歌で使用される。受験生必修の知識)。下の文脈に従えば、「涙に・浮かぶ」と文節を分けたい。二重文節関係を用いた掛詞になっています。当時は帝だってダジャレを言っていたことがうかがわれますね。

口語訳・・・かぐや姫、あなたと逢うこともないので、悲しみの涙に浮かぶようなわが身には、不死の薬も何になりましょう、いや、何にもならない。

和歌が不得意という人は、普段からオヤジギャグを言う癖をつけるとよいでしょう。
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【2006/12/14 04:44】 | 古文のツボ | トラックバック(1) | コメント(0)
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プロフィール

谷村 長敬(たにむら ちょうけい)

Author:谷村 長敬(たにむら ちょうけい)
1965年生まれ。立教大学大学院修士課程修了。在学中、赤坂憲雄先生に師事。院生による共著に『「注文の多い料理店」考』。お茶の水ゼミナールで国語全般担当。テキスト(現代文・古文)、小テスト(年間3000点分)の作成にたずさわる。2006年、「ワークショップ フットプリンツ」創業。現代文と小論文を並行して演習する講座をはじめる。趣味はスキー。

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